僕はレベル40

心が動いたことをかいていく

バンコク公演の『死ぬのがいいわ』に魅入ってたら息してなくて死ぬかと思った

僕が観たかったのはコレ!

 

以上です。

 

それでは、お元気で。

 

🔶

 

…まぁ続けるんですけどね。

ただ、これで記事を終わってもいっこうに構わんというのは偽りなき本心で、もしこのパフォーマンスを観ていない人でこんな記事を開いてる暇があったら一秒でも早くこちらを鑑賞するがよろし。(こんな神席からの動画をアップしていただき、本当にありがとうございました。)


もうね…国宝にした方がいいんじゃないかな?言葉も無いどころか言葉が溢れ出てくる。ありがとうありがとうありがとう。

この激アツパフォーマンスには色々な文脈が複合的に絡んでいるんです。

ポッドキャストも聴いてねん⇒

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タイ公演がアツイ訳

アジアツアーにおいてどの公演でも行けるから一つ選べと問われたら迷わずタイのバンコク公演を選んでいたでしょう。

今回のアジア行脚の大きな目的は世界で注目されるきっかけとなった『死ぬのがいいわ』ムーブメントの発生源であるアジア各国を巡り「直接お礼を言いに行く」ことだ。

これはマネジャーのずっずさんも再三触れていることであるし、当の風さん本人のたっての希望なんだろうな。

そのムーブメントの大元がまさにタイなのよ。タイのTikTokコミュニティでの盛り上がりをきっかけにし、各国に伝播していった経緯を踏まえると今回巡る国々の最重要目的地とも言えるかもしれん。

そんな地での『死ぬのがいいわ』が普通な訳がないよね。

オーディエンスの熱気、そして藤井風の特別なパフォーマンスどちらも特別になる予感しかしない、そんな夜を思い描いていた。

18禁のパフォーマンス

で、実際のパフォーマンスはどうだったのよってとこですが、観ている間、僕はほぼ息をしていなかった。呼吸を止めて100秒あなた真剣な目をしながら画面に食い入っていたので、鑑賞後は息が苦しいわ目はパリパリだわでもう大変。

まずは前曲の『golden hour』が激しく素晴らしくまさに黄金色の時間だったワケだが、今回はアウトロをアレンジ。一度流れを切って『死ぬのがいいわ』のイントロだと理解してからのオーディエンスの歓喜、絶叫たるや。イントロの激奏もいつもとテンポを変えてよりドラマティックにに進化しとるなぁと思ったのも束の間、「ピアノ椅子をステージ中央に動かした」。

何々なにナニ?この演出、知らんぞーー!!と期待が高まる中放った短い言葉。

“ขอบคุณมาก”(コップンマークカップ)=どうもありがとうございます。

そして”This song is for you.”

アジアツアーの目的を果たすべく、現地の言葉でとても丁寧に伝えること。これはできることではありませんよ、ほんとに。

タイの皆さんへ捧げます」という意味合いが含まれているこの言葉、文脈、オーディエンスの反応すべてが熱い。こういう瞬間を見るために音楽を聴いていると断言したい。

そして流れ出すあのイントロ。しかもスペシャルバージョン!そしてこの日一番の絶叫が会場中に響き渡る。この会場の歓喜と熱気でどれだけ彼の楽曲が受容されているのかを肌で理解し、何度観てもほろりときてしまう。

オケ音源のイントロ部分を長回ししていたのはこの絶叫と歌い出しが被らないような配慮なのか、あるいはタイだけの特別仕様なのかはわからんが、とにかくさっきからあらゆる点がスペシャル過ぎてもうどこを驚けばいいのかわけがわからないよ状態。

そしてイントロが終わり重たいベースとトラップビートがインした瞬間に紅いステージに白い光が差し、その表情があらわになる。再度鳴り響く大歓声。ここら辺で激しく心を打ちぬかれているのだが、この間3分も経っていない。永遠のような一瞬のような時間が流れ、ついに歌い出す風氏。

この日は声帯も絶叫調で低音から高音までキレキレだったが、特に注目したのはその「所作」。

決して激しく動いているのではない。先ほどの椅子に大股で座りながら動きは太極拳の達人の如くスローに、立ちそうで立たない、そして妖しく艶やか。溢れ出る色気が凄過ぎて鼻血の血だまりで溺れるとこだった。

これね、演出的にソウル公演から変えた事はピアノ椅子をただ置いただけなんですよ。

しかし立ち上がって歌うだけ、とは全く違う表現となる。椅子が「演劇的な装置」の役割を果たしていると強く感じた。進化が、進化が止まらない。"Fujii Kaze and the piano"というライブスタイルだからこそ、自然で意味がある演出にもうこの時点で全身全霊でブチ上がってしまう。

この『死ぬのがいいわ』、たくさんのアーティストが素晴らしいカバーをアップしているけれど、世界で藤井風を超えられる人はいないだろうなと強く感じた。唯一無二。至高。

 

いかがだったろうか

いや、ほんとに魅入りすぎて興奮して息してなかったんですよね。あぶねー!

冷静に考えるとアジア各国でのライブを毎週楽しめる今ってめちゃめちゃ幸せなことだし、終わったら相当ロスになりそうね。

次のツアー先でWorkin' Hard披露とか、別のツアーが発表されるとか、次の展開への予想と期待が高まるがもう何が起こっても不思議じゃないこの伝説のアジアツアー。パナスタの円盤も発売するしで、ドキュメンタリーも観たいわでてんやわんやな日々がまた幸せ。激務のツアーを走り抜けているチーム風の健康だけには気を付けて欲しいと願っているが、とにもかくにもこの伝説を最後まで見届けたい。

 

それでは、お元気で。

 

(7/7 23:30頃からインドネシア ジャカルタ公演の鑑賞配信やるのでぜひお越しください!)


 

好きな音楽を見つけること

暖かな陽気に誘われて、新しい事を始める気力が湧いてくる季節になってきた。

「あれをしようかな、いやこれをしようかな?」って期待を膨らませている人もいるでしょう。

最近好きな音楽を見つけることを、そして特定のアーティストの動向を追いかけることの尊さと楽しさを実感しているので「新しい何か」を求めている人へのおすすめ記事を書いていきたい。何かをはじめる選択肢に「(もう一度)音楽を好きになる」が入ってくれたらこれ幸い。

ちょい内容変えてるけど音声はこちらから⇒

好きな音楽を見つけること

音楽的無気力*1」という言葉で表現されるけれど、とある調査によると人は年をとる程に新しい音楽を聴かなくなっていくらしい

僕の場合は好きな音楽を聴いて歌うことをこの上無いほどの趣味にしているので30を過ぎても未だに10代のようなマインドで音楽に触れているが、そんな奴はむしろ例外で自分の周囲はほとんど音楽への興味を失っている。少なくとも同世代に「最近なんか聴いてる?」なんて尋ねても「いやー昔はよう聴いとったな~」って200パー返される。

ただ、そんな人でもきっかけさえあれば気力が復活することもあるだろうし、現代は求めれば新しい音楽にめちゃアクセスしやすくなっているので方法をいくつか挙げていく。

ストリーミングサービス

もはや無かった時代を思い出したくない程にの音楽ストリーミング・プラットフォームは、革新的なサービスだ。Spotify、Apple Musicとかね。ツタヤやタワレコで物色してゲトったCDをデータにしてipodに入れていく作業はそれはそれで楽しい思い出なんだけど、2度とやりたくないとも思う。

で、これらストリーミングで特定のアーティストだけを聴くってのはめっちゃ勿体無くって、例えばSpotifyが一番推してる機能はプレイリストによる新しい音楽の出会いだったりする。

オーディエンスのリスニング履歴に基づいて新しい音楽を推薦してくれたり、特定のアーティストから派生していける機能なんだけど、例えば、例えばですよ?僕が藤井風というアーティストを好きだったとするじゃないですか?

そうするとこんな感じでテイストが近いアーティストを提案してくれるので、ぜひ使ってほしい。昔好きだったアーティストのページからどんどんジャンプしていってテイストが近いアーティストを探すとかもできる。しかも無料。

藤井風のファンの間で人気の別アーティスト あくまでも一例ですよ

 

あと好きなアーティストのプロデューサーから派生して聴いていくのもおすすめ。

こんなプレイリストを聴くと自分の推しが他のアーティストとどう差別化されてプロデュースされているか、なんて視点から味わう事ができて楽しい。

 

 

音楽フェスや単独ライブに参加する

好きなテイストの音楽を見つけるにあたって音楽フェスほど良いイベントがあるだろうか、いや無い。ビュッフェ形式であれこれ味わうも良し、冒険して普段聴かないジャンルに手を出すも良し。

とにかく音源とは違うのは「迫力」。単純な音圧、オーディエンスの熱気や歓声、その日にしか聞けないMC、そしてライブパフォーマンス。ライブという文字通り生きた体験その全てがプライスレス。僕は中でもライジングサン・ロックフェスティバルが好きなんですが、丁度去年に藤井風というアーティストが伝説を残したりしてて行かなかったのを死ぬほど後悔してたりするのでできるだけ行った方が良いですよ(血涙

で次のステップとして、もし少しでも気になる/好きになりかけとかのレベルに達していれば迷わず単独ライブやツアーに参加してみてほしい。フェスよりも長尺でアーティストに触れられるし、ぶっちゃけライブでピンと来なかったらそのアーティストにあんまり向いてないのかもしんないね。

チケットがガチで取れないアーティストも沢山いるので、ワンチャン当たれば行こう!くらいの軽いノリで早めに申し込むと吉。それでもハードルが高ければライブ映像を観ることからスタートするのはいかがざんしょ?

丁度最近こんなアーティストが、凄いライブしてましてね。そんなんから踏み出すのもいいんじゃないでしょうかね、ええ。

[Netflix Trailer] Fujii Kaze “LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE” at Panasonic Stadium Suita - YouTube

 

その他、新しい音楽を見つける方法がたくさんあって過去に書いてるので、もっと知りたい場合はぜひご覧あれ。

 

ファンコミュニティに参加する

ネクストステップ!特定のジャンルに特化したコミュニティに参加することは、他のファンとつながれる貴重な機会になる。アーティストの新曲やMVにキャーキャー言ったり、ライブの感想、チケット当たった!外れた…を共有するだけでとっても楽しい。TwitterやInstagramがメジャーだと思うけど最近だとTiktokで好きな曲派生で繋がっていく人も多い。あと、LINEのグループチャットとかが活発なコミュニティとかもあるし、アーティストによって盛り上がっておりコミュニティが結構違う。

僕が最近ハマってるのはredditという海外の掲示板。海外でも人気があるアーティストならスレッドが立ってたりするので英語アレルギーが無い場合は参加してみてほしい。

例えばこんなスレッドが立ってる。

The Netflix concert was amazing

It was the only time I actually paid attention to the English lyrics and wow, every single song is uplifting and touching. I was dancing and singing with him. I loved his concert so much, he radiates such positive energy. Watching his performance and reading the translation to Grace almost made me cry! I really hope that this riles up even more attention and we can one day get a USA tour!!!

引用元:The Netflix concert was amazing : fujiikaze

意訳:ネットフリックスのコンサート素晴らしかったわ!!

実は英語の歌詞に注目したのはこの時だけだったけど、いやはや、どの曲も高揚感があり感動的。彼と一緒に踊り、歌っちゃったし彼のコンサートめっさ良かった。彼は超ポジティブなエネルギー満点だし、パフォーマンスを見て、Graceの翻訳を読んで、泣きそうになっちゃった!これがきっかけでさらに注目が集まり、いつかアメリカツアーが実現することを心から願ってる!!!

みたいなね。眺めるだけで中々楽しい。

アーティストにもよるが、たいていの場合は新しくファンになろうとする人を歓迎するコミュニティがほとんどなので楽しんで探しみてほしい。

ちなみにですが僕みたいな陰キャにも優しく絡んでいただきサポート&フォローしてくださる人がいるようなあったけぇコミュニティもありますよ、#藤井風で検索してみてくださいね。

 

いかがだったろうか

あんた藤井風のダイレクトマーケティングやないかい、というツッコミは置いておいてだな。好きな音楽に出会い、深みにハマり、それを追いかけていられるというのは本当に幸福でありがたいことだと常々感じているんですよね。

数え切れないほどに存在するアーティストや楽曲の中で、「自分の好き」に巡り合える希少さや幸運を考えるともはや感謝しかできない。僕は辛い時も苦しい時も数々のアーティストの奏でる音に、そのメッセージを胸にいくつもの山を乗り越えてきたので、新しい季節に、誰かの希望にでもなればいいなと思ってあれこれ書いた。

綺麗ごとに聞こえるかもしれないけど、明日には、来年には、5年後に同じ環境でいられる保証なんてどこにも無いので今楽しんでいられる1秒1秒を大切にしたいと心から思うね、いやホント。

 

それでは、お元気で。

【パナスタ考察】藤井風のライブにおける最強の流れが決定しました。

Youtube ”Fujii Kaze LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE”より引用

僕の中でな!

という訳で最近配信された秋まつりこと”Fujii Kaze LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE”について「曲と曲の流れ」そしてその考察(妄想)に絞って語っていく。

ポッドキャストで聴きたい方はコチラ

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配信観た?

レッツラヴォォォサァヴォォォォ!!!! もうマジで最っ高のパフォーマンスでしたね。

配信直後からかじりつきで観てましたがあの日の記憶が鮮明に蘇り、完全に気力がフル充電された気分です。

MCほぼほぼカットとか不満点がゼロでは無いんだけど、何らかの理由はあったんだろうし「ライブパフォーマンスを魅せる」点に特化して、ありとあらゆるカット割りで構成しきちんと「配信」してくれたチーム風に感謝∞ですな。

 

で、当日から訳5か月が経過して記録は記したもののほぼ映像としては忘れかけていたので見返してたくさんの気づきがあった。

その中でもこれだけは語りたいのが『ロンリーラプソディ』の素晴らしさ、そして続く『それでは、』⇒『青春病』の一連の流れ

白眉というかハイライトというか、どのライブでもアーティストが思いを込めてセットリストを決め、伝えたいメッセージやパフォーマンスのコアになる部分がある。この3曲の流れは自分が観てきたあらゆるライブの流れの中でも最上位クラスに感動した。

 

ロンリーラプソディ

はい、世界一良い曲が決定しました。いや、実際LASAリリース当初一番ピンと来なかったこの曲にここまで揺さぶられるとはな。

1~9曲目のバンド構成を「」とすれば「」にあたるのがロンラプから始まるピアノ弾き語りパート。照明が落とされ、独り静寂と暗闇の中ピアノに向かう風氏。まずこの時点で曲のテーマと対応している。

疲れたじゃろ?ちょっと座ってええで?」の優しい声かけからのピアノ激奏。冷静に何度も聴くとロンラプのイントロに繋がるスケールだとわかる一連の序章を奏でる音。

それにしてもなんて心地良い時間なんだろうか。闇の中でも圧倒的に風だとわかる美しいシルエットも相まってただただ「恍惚」の2文字。この光景を切り取った写真を部屋に飾りたい。そして流れ出すあの芸術的に物悲しく儚いイントロ。オケ音源のメロトロンが重なった瞬間に鼻血が出そうな程感動した。

ノスタルジー?ん-ん。カタストロフィ?いや一番違うわ。

そう、カタルシス。 

流石は人間カタルシス藤井風、また僕を解き放ってくれやがった。まさか自分の人生でピアノ演奏にここまでブチアガル時が来るなんて。ラストの振り返りとキラッキラのスマイルは周りを見渡してもう孤独じゃない=「もう聞こえないロンリーラプソディ」でという意味があるのかしらね。それとも持ち前のファンサービスなのか?

 

「木」の映像

注目して欲しいのはバックの「」の映像が示す意味だ。

今のところの僕の解釈は「時間・季節の経過」、そして「心の満ち欠け」というダブルミーニング。

『ロンリーラプソディ』を聴いて真夏のビーチをイメージする人は多分いなくって、むしろ「孤独感」とか「人恋しさ」とかそういう感覚が、寒い時期にマッチするとは思っていたが、まさに「冬枯れの季節」として演出が始まる。

Netflix ”Fujii Kaze LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE”より引用

前半の歌詞「探しても 寄り添う肩はなく ただ単に 飲まれてく 空っぽな人波に 溶けてゆく」に表れるロンリネスと対応している。曲の展開が進むにつれて枝が伸び、葉が生い茂る演出で時間も経過しているとわかるけど、それ以上に「心が満たされていくこと」のメタファーとして「木」をチョイスしたのかなと。実は1曲の中でストーリーに起伏がある楽曲なんだが、綺麗でポジティブなものを取り入れた結果最終的には「ため息は幻… もう聴こえない ロンリーラプソディ」と孤独感は消え去っていき心という名の木は茂ってゆく。

しかし『それでは、』において、一度その葉はすべて枯れ落ちる。「なにもない荒野はこのわたしは」の歌詞と対応してる辺り、相当に考え抜かれた映像演出であるよ。

葉っぱが散ってゆくー Netflix ”Fujii Kaze LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE”より引用

この曲においても風の言う「あなた」に会いにゆくことで「わたし」の心が満たされ、「春が来る」⇒その後に葉が生い茂る演出が繰り返される

ちなみに何度か暗く暗転するがここも歌詞の「幾重の闇を超えて」を表現してると推測できる、と。

あのさ、もう泣くしか無いですよね。ムスカもびっくりな目がぁぁぁぁ案件なんですよ。僕の目をどうする気なんやマジで。

最後、『青春病』においてはそのタイトルの通り最初から全開で茂っている。季節で言うと新緑を過ぎ、初夏くらいのもっさもさ。

Netflix ”Fujii Kaze LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE”より引用

さらに妄想だが、曲中は生い茂ったこの葉もきっとまたすぐに枯れ落ちてしまう。曲のテーマに通ずる「諸行無常」、「輪廻」、「儚さ」の意味を考えてもきっとそう。巡り巡ってまた「理想の自分に会いにゆく」という壮大な目的に向かうという意味がこの映像とパフォーマンスには込められている。きっとね。

いかがだったろうか

ステージング」という言葉がある。広く且つ奥深い言葉なんだが、超ざっくり、「ライブにおいてオーディエンスをどう魅了し、どう感動させるか」という意味だ。MCの内容やパフォーマンス、曲の流れや演出とかたくさんの要素がある。

僕はライブマニアで洋邦問わず様々なライブを観てきたし、小規模ながら自分自身もステージに立っていたのでこの「ステージング」の大切さは身に沁みている。この点藤井風というアーティストは群を抜いて素晴らしい。巨大化する期待をチーム全体であらゆる手法を用いて「表現」する様に僕は何度も何度も殺られてしまう。

ちなみに、先日千秋楽を迎えたLAATにおいては『死ぬのがいいわ』からの『青春病』の流れが最上であった。実はパナスタと対になっていて、ここにも大きな意味があったりする模様。パナスタだと青く熱く燃え盛る炎が激情の真紅の炎に変わるとかさ。もうやばとしか言えない。

『青春病』はLASA全体においても核になる楽曲なのかなと想像。こういう読み解きという名の妄想最強に楽しいし大好き。

                                                                                                                                           

みなさんが感じた最強の流れがあったらぜひ教えてぷりーず。

それでは、お元気で。

Netflix

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藤井風の『LOVE ALL COVER ALL』について全力で語りたい

自分史上、最もリリース当初と現在で好きさ加減が違う大切なアルバムになってしまった。そう、藤井風の『LOVE ALL COVER ALL』、通称LACAの事である。

 

いやほんとに去年の僕の耳は節穴過ぎた。正確には優先順位がおかしかったというか。

藤井風の2ndフルアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』(LASA)の初回限定盤付属CDであった本作だが、正直オリジナルアルバムを聴き込み過ぎて見落としていた。魅力に全然気づけていなかった。ごめん、LACA。

ストリーミングで配信もされて、一般にも広く開放された。そんな訳で今日はこの珠玉のカバーアルバムについて存分に語ってゆきたい。

(こちら原曲と合わせたプレイリストです。)

前置き

正直に言います。このアルバム、切ないんです。うん、せつなすぎるんです。

僕はどっちかというとアゲ曲を好む節があるので、聴いて胸を締め付けられるような、アーティストの憂いにあてられてしまうような感覚があっていつもLASAを優先してた。

加えてせっかくのフルアルバム発売だしと、今まで世界に存在していなかった楽曲を聴きたい欲が勝ってしまっておりました。

その魅力に気づいたのはネトフリでの配信も控えたパナスタでのライブ後。藤井風が奏でる『それでは、』に殺られすぎて号泣した結果、涙腺を壊されてしまい彼が演奏するピアノを聴いただけで目頭が熱くなってしまう病に罹患。風ピアノが聴きたい発作緩和にLACAを聴きまくったというのがざっくり経緯だ。

 

リリース当時:いや、オリジナル聴きたいわ⇒車乗りながら聴く程度。

パナスタ後:か、風ピアノを聴かせてくれぇぇ⇒LACA聴き込み開始

現在:いや、このアルバムめちゃすごない?⇒LACAしか聴いていない

LOVE ALL COVER ALLの重要ポイント

相変わらず前置きが長いが本題に入る。

今回の記事作成にあたってはスペースシャワーTVの「V.I.P. -藤井 風- LOVE ALL “COVER” ALL SPECIAL」の本人インタビューを大いに参考にさせていただいた。VIP藤井風の文字圧が凄い。もし録画している人がいればぜひ見返して欲しい。この記事読まなくてもいいんじゃないかな?

やっと!2022年3月発売だったわしの2nd album ”LOVE ALL SERVE ALL” の初回盤についてたボーナスCD、その名も”LOVE ALL COVER ALL” が配信されました!レコーディングは2020-2021ぐらいにはもう終わってて、今聞くと若い感じがしてちょっと恥ずかしいけど、個人的な思い出がいっぱい詰まったピアノカバーアルバムになってるから気が向いたらチェックしてみて🎧

fujiikaze インスタグラム投稿コメントより

さて、僕がこのLACAにおいて特に重要だと思っているのは「コード進行の妙」「コーラスワーク」の2つだ。本人もインタビューでコード進行をどうアレンジして楽曲に厚みを持たせるか苦心した事を話している。

無論、コピーとカバーは全くの別物原曲をリスペクトしつつ、あくまでも藤井風がカバーする意味を持たせているのが重要なんだけどその大きなポイントがコード進行のアレンジだ。

そもそもコード進行って何なん?って人もいると思うが、こちら長めに引用する。

コードについて理解を深める上で、音楽というものを絵に例えてみるとわかりやすいでしょう。音楽にはリズム、メロディー、ハーモニーの三要素が存在すると言われます。これを絵に例えてみますと、リズムはキャンバス、メロディーは輪郭、ハーモニーは色みたいなものでしょうか。

キャンバスがなければ絵が描けないように、音楽にとってリズムは絶対に欠かせない要素であり、音楽を支える土台であると言えます。メロディーはキャンバスの上に鉛筆で描いた輪郭のようなものをイメージして下さい。一応、輪郭さえあれば絵としては成立しますが、やはり味気ないですよね? それと同じでメロディーだけの音楽というのは物足りないものです。そこで輪郭に色を着けるものがハーモニーであり、具体的にはコードであると思って下さい。輪郭に色を着けることによって絵が生き生きとした表現力を持ってくるのと同じように、メロディーをコードで彩ることによって音楽にも表情が生まれてきます。

引用元:https://mahoroba.logical-arts.jp/archives/2994

 

わかりやすっ!!

つまり、原曲を研究し、書かれた輪郭の上にコードによって色使いをアレンジして違う表情を持たせることこそが彼がこのアルバムで行っていることと言い換えられる。

例えば原曲の和音に音を足して厚みを持たせる等、細かいところで風味がイン。実際の映像ではこんなに違って聴こえるとは…って驚くくらい違うのよね。

岡山生まれYOUTUBE育ちとして長年培ってきたアレンジャーとして、人にどう聴かせるのかという彼の根本に立ち返る作業を繰り返している。その足跡を堪能できるのがこのアルバムってこと。

そして「コーラスワーク」。楽曲を構成する音がピアノと声のみ。リスナーに飽きさせないようにするため、様々な声を重ねる事やアカペラでの語り入れてみたりともうほんとに細かいKUFUこと工夫が随所に凝らされている。この辺りは楽曲プチレビューにて触れていく。

楽曲について

スペースシャワーTVで超有能特集からの情報を交えつつ私見も加えてプチレビューを色々書いていく。

01. Sunny / Bobby Hebb

1966年リリースでBMIがこの曲を「世紀の100曲」中、25位に選出する程にスタンダードなナンバー。僕は60年代は疎くってサム・クックくらいしか聴き込んだアーティストがいないんだけど、『Sunny』は有名なので知ってはいた。

LACAとして全体的に新しい楽曲が多い中で、あえて名曲をチョイスする覚悟を出だしの"Sunny〜"から感じる。藤井風の一声目オタクの僕も大満足です、ハイ。

タイトルよりも物悲しくすら聴こえるのは"Yesterday my life was filled with rain"という歌詞があるように雨模様の心が晴れ渡ってゆくまでの過程を歌にしているからなのかな?更にコードにナインスの音を加えてさらに切なさが増してる。

スペシャより

・お父ちゃんの昔の洋楽ポップス集のCDで知った。家族のルーツで父、兄、ワシも好き

・前回も世代じゃない曲を入れたが、スタンダードもカバーしたい思いがあった

・キーを低めにしコードもおしゃれにして、ナインスの音を加え厚みを増そうとした

02. No Tears Left To Cry / Ariana Grande

一曲目の『Sunny』からおおよそ50年後にリリースされた原曲。「涙は枯れ果てた」という意味を持つこの『No Tears Left To Cry』。これもまた辛い出来事からの立ち直りをテーマにした楽曲だけど、その50年での言葉数や譜割のリズムの進化と飛距離に驚く。これはあえての対比配置なのかな?

初聴き時は『ガーデン』ぽい始まりやなとも思ってたんだけど、細かく聴くと重なるコーラスの音が一瞬上がってたりして細やかさにハッとさせられる。ライブで風弾き語りを聴く時にもいつも思うがドラムが無いのにこんだけビートを感じられるのが凄い。2:31みたいに一音だけクラップを入れてるとことかめちゃ好きなんだけど、小さな積み重ねがこのクオリティの所以なんだろうねぇ。

スペシャより

・POPの中にR&Bを感じさせるアリアナは凄い好きだしリアルタイムで聴いていた

・こんなんピアノでカバーするやつおらんやろう枠

・MVだけコーラスからはじまるものを再現した

03. Hot Stuff / Donna Summer

あまりに低音から始まるので「な、何が始まるんです…?」ってなった曲。世界はおろか日本においても何回擦られたんだよという有名曲ではあるけれどこんなにブルースで物悲しい『Hot Stuff』は初めて。藤井風って「こんなの初めてぇぇ!」を連打してくるアーティストよね。困る。

後半グルーヴしてゆくピアノにクラップが足され、歌唱もグッと熱くなっていくその連鎖を楽しむ曲。

 

スペシャより

・喫茶店(ミッチャム)でかかるのは日本の歌謡曲ばかりだがこの曲はかかっていた(おとんもおかんもいぇーって感じ)

・あえてディスコ感を残さずブルージーでけだるい枠

・大人なムードだが、後半は抑えきれないディスコ熱も出てる

04. Sorry / Justin Bieber

HEHCから含めて一番好きな曲。なんならこの曲だけで一本書きたい。

原曲のポップネスをこんなにも壮大で切ないピアノバラードに仕上げてくるとは…しかもただのバラードには終わらず後半は原曲の持つ伸びをアレンジで表現している。特にヒップホップヘッズとして最高なのは日本語ラップの金字塔of金字塔であるブッダの『人間発電所』をアウトロ部分でサンプリング*1しているところ。詳しい経緯を知っている方がいれば教えて欲しいんだけど、『人間発電所』を元ネタにして加藤ミリヤ氏が『夜空』としてリリース→ミリヤ好きの風さんがさらにサンプリングしたって感じなのかな。自分の好きがどこかでアーティストと繋がる感覚が愛おしいです。

僕にとってジャスティンといえばビーバーよりティンバーレイクなのでそこまで詳しくは無いのだが、『Love Yourself』は風ボイスと1億パーセントマッチすると思うし色々合ってると思うので次回作マジでお願いしたい。

スペシャより

・コード進行をガラっと変えたら面白くなる「コード変えてみたくなった枠」

・原曲はポップなのにしっとりR&B風コード進行にしたらおもろいかも

・セブンスコードでより強く謝った感を出した

05. Good As Hell / Lizzo

風&Lizzoについては過去に書いたので彼らの詳細はそちらにて。

この『Sorry』→『Good As Hell』→『Just the Two of Us』の流れズルない?HEHNの『何なんw』→『もうええわ』→『優しさ』の流れくらい好き。

とにかくこのカバーは後半声とピアノだけで構成されているとは思えない絢爛さ。ぜひ目を閉じていくつ音が重なってるか数えてみてほしい。これに「転調」も加わってアゲ方がえげつない。転調はブラックゴスペルでよく使われる手法だけど、曲のグルーヴそのままにキーが上がっていくのでとにかく盛り上がる。けど歌う方はキッツイんですよ。気合いです。

転調するとボーカリスト=風の気合も増す」。ここテストに出ます、覚えといてください。

スペシャより

・NYでフェスにLizzoが出た時に感動したすごいパワーを感じる曲

・原曲は転調しないけどライブで転調してブチ上がったのをやっちゃってる

・ライブ前のSEにしたのもアガルから

06. Just the Two of Us / Grover Washington, Jr.

間違えがちだけどGrover Washington, Jr.は「サックス奏者」で歌っているのはフィーチャリングされているBill Withersの方。世界史的にも日本史的にも多大なる影響を与えた問答無用のクラシック

風カバーは勿論最高なのだが自分としては神戸ライブで観たサックスカバーが忘れられていないんですよね。あまりの色気とそこはサックスなんかいぃぃかっけぇぇぇ!!で鼻血5Lポイントだったのを昨日の事のように思い出せてしまうので、あえて風サックスを聴いてみたかったのもまた本音。

個人的に絶頂に達するのは2:20の大サビ前のピアノの繋ぎ。僕には言語化する知識を持ち合わせていないんだけどここだけでご飯を無限におかわりできる。デビュー前の動画からの進化を聴き比べるのもまた美味しい。

 スペシャより

・昔からのファンのみなさんが自分と結びつけてくれる、結びつきが強い曲

・ずっずさんが風紹介のために使っていた動画。

・(所謂丸サ進行のため)流行りを意識させないよう厚みを加えるのにナインスの音を足した

07. Weak / SWV

全国一千万人の『やば。』好きの皆様お待たせしました。こちら彼の90's R&BのDNAにあたるグループ"SWV"。他にもきっと"TLC"とか "En Vogue"といった90年代を彩ったDIVA達の名曲を聴いて、研究して、彼独自の絵を描き続けた果てに『やば。』が生まれたんだと想像してる。あと墓とかの独特ワードチョイスもか。

曲としてはこの曲だけ完パケ感がある。このままリリースしても違和感無いように聴こえるのはコーラスワークの厚みでゴージャスに聴こえているような気がしている。風ボーカルに絡む高風と低風が最高なのでコーラスのみに耳を傾けてみて欲しい。あとThis is R&Bなテクいフェイクも!

スペシャより

・死ぬほど好きな曲で成人してから一番衝撃を受けた

・97年生まれの自分にとって90'sは手が届きそうで届かない

・なぜ胸キュンするのかを研究をしていた曲で自分のものにできていないほど奥深いコード進行で「サーティーンス」にこのメロディを乗せる…何なんでしょうね、このコード

08. Overprotected / Britney Spears

www.youtube.com

こちら、ブリトニーにはもっと有名な曲はあるけどお姉ちゃんの影響での選曲とのこと。自分にとってもモロに世代っていうか一家言あるというかね。お願いですからお姉様、僕とブリトークしてください。

彼女の曲ならMVが世界一可愛い『I'm Not a Girl Not Yet a Woman』かこの『Overprotected』が特に好きだったのでこの曲をチョイスするんや!ってかもっと他あるやろ!?と思いつつめちゃ嬉しかった。

カバーで特に好きなポイントとしてはオリジナルの冒頭をオマージュしてアカペラからの"Action!!"で景気良く始まるところと1:13"Things that I've been told~"の裏のピアノフレーズが超美味しい。細かすぎる?伝われ!!

スペシャより

・音楽的にかっこいいと思った

・この曲のタイトル通り、過保護にするなという気分になるときもある

09. Teenage Dream / Katy Perry

地味に自分のターゲットから外れてるのよね、ケイティ。『Firework』とかしか知らなくってこの曲も存じ上げず。そういう意味ではとてもありがたいLACAの活用ができてる。しかしあらためて原曲も風カバーも聴き込んだけど、なぜ今まで通らなかったのか理解に苦しむ。このアルバムに通底する切なさをギュギュっと凝縮してるようなコード感。風さんも語るように歌メロの下りに沿ってコードも下がるところはめちゃ美味しい。こんなにも聴こえが変わるのかと驚嘆するレベル。

I finally found you, my missing puzzle piece, I'm complete

(やっとあなたを見つけた 欠けてたパズルのピースでわたし完成したの)

歌詞も好き。風を見つけた僕の気分です。

 スペシャより

・この曲から青春セクションで、より青春のせつなさを強調したコード進行

・ブリッジで下っていく感じがせつない。ワシはメロディの下りに合わせてコードも下るアレンジにした

・地元の中学にケイティやレディ・ガガを輸入したときに卒業アルバムに好きな曲と書いてくれた思い出がある

10. Eh, Eh / Lady Gaga

あえて『Bad Romance』でも『Poker Face』でも『The Edge of Glory』ないチョイス。本人的にもっと有名な曲はあるが実は聴いていた枠らしいけど、そういう感覚あるよね。アルバムの中にある、密かにきらりと光る曲を見つけた快感。

突然別れを切り出す歌詞だが、コード進行から普通ではない感情を読み取っている」とインタビューで語っていたけど、すごく腑に落ちたというか。きっと彼の数々のオリジナル曲にも「真実はコードで語る」要素が散りばめられてるんだろうなと受けた影響を想像する。

ガガ&風は発するメッセージ的にも音楽的な影響も並々ならぬ関係があると思うのでいつかそんな記事を書く事を構想中。

 スペシャより

・一番衝撃を受けたアーティストの一人

・もっと有名な曲あるけど密かに聴いていた枠

11. Circles / Post Malone

「藤井風ってポスト・マローン聴くんだ…」っていう謎の感想が一番最初に出てきた曲。『Circles』が収録されているアルバム『Hollywood's Bleeding』は深海から自分を引っ張り上げてくれるようなド名盤なので単体よりもアルバムで聴くことをオススメしたい。オルタナティブでヒップホップで超ロック。

Let go, I got a feeling that it’s time to let go

(手放すんだ もう別れなきゃ)

歌詞は結構男の身勝手みたいな曲なんだけど藤井風が歌う事で別の文脈が生まれてきそうなのがカバーの面白いとこ。

曲としては後半の伸びやかなボーカルは藤井風が一番気持ち良く聴こえる音域だと思っていて、原曲自体に重なってか相当熱く歌い上げているのが好き。コーラスの低音もぞくぞくクルしもう何個要素重ねてくるん!?って感じです。

本人も語るようにラストにふさわしいスケールを持った楽曲で〆。ご馳走様でした。

スペシャより

・なぜかは説明できないけどラストに配置したい枠

・(ポスト・マローンは)声がかっこいいしずるい

・原曲に吸い寄せられ、声を強調させて歌い上げている

 

いかがだったろうか

前回はルーツを表現したかったけど、今回は感情を優先したし新しい曲が多めになっていて今の感情を忠実に表している エモーショナルな体験をしてくれたらうれしい

by 藤井風

Yaffleサウンドの周到な編曲が無い分、藤井風というアーティストのピアノ演奏そしてコーラスワークも含めた声を最大限感じられるアルバムだと思う。

 

次は、3月10日に差し迫ったNetflixでのパナスタライブ配信が楽しみでしょうがない。このお祭りを楽しむために配信なども企画中なのでお楽しみに!!

それでは、お元気で。

 

音声はこちらから!!

anchor.fm

 

 

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*1:過去の曲や音源の一部を流用し、再構築して新たな楽曲を製作する音楽製作法・表現技法のこと。人間発電所もKing James Version - I'll Still Love You をサンプリングしてる

「理想の自分」に出会うために生きる愛と誓いの歌、『死ぬのがいいわ』の紅白歌合戦でのパフォーマンスについて

NHK YOUTUBEサムネイルより

本当に愛することから生まれてくる"音"というのは

必ず人の心に響くものがあると思うんだよ

第73回NHK紅白歌合戦 加山雄三さんの言葉より 

昨年でコンサート活動にケジメをつけた永遠の若大将こと加山雄三御大の言葉が胸に刺さってしょうがない。長い長い路の最後の紅白の舞台は心どころか体中が震える程に感動した。

そしてその言葉の持つ重みをそのまま引き継いだかのような鬼気迫るパフォーマンスを魅せた藤井風というアーティストの『死ぬのがいいわ』について今日は書いていきたい。

NHK MUSIC SPECIAL 藤井 風 いざ、世界へ

この紅白には前段があった。12月28日、つまり紅白の直前に全力特集された「NHK MUSIC SPECIAL 藤井 風 いざ、世界へ」だ。

流れとしては事前に予想した通り、『死ぬのがいいわ』の世界的大ヒット、"home town of my soul"ことインド来訪と『grace』で解き放たれた風、そしてパナスタでの自身最大規模のライブのバックヤードという順序でもうこれしかないよなという丁寧な流れであった。ちょっと死ぬのがいいわ使いすぎでくどいやとは思ったが。

流石に紅白本番三日前の放送ともなると何かしらフリがあるのかと予想していたが、実際には直接的な関連性は薄かったように思う。

紅白を視聴し終わった今、答え合わせ的に言えば、むしろ今の藤井風というアーティストが立つ現在地を正確に指し示し、視聴者に理解を促しておくということこそが番組の趣旨であったように思う。『死ぬのがいいわ』という強すぎるタイトルが紅白の曲目の中で悪目立ちしないように打っておいたジャブの意味はあったのかもしれないね。ってかそもそも、世界で過去に例を見ない大ヒットを生み出す前途有望なアーティストはそりゃあ特集するよねって話で。

今後の藤井風の大事なキーワードになるであろう「ピュアネス」に触れられた事が個人的一番の収穫でした。

第73回NHK紅白歌合戦

で、本番。

まず自分の結論的感想から言っておくと、若手とベテランのバランスがめちゃめちゃ良くて最高に楽しい年越しを迎えることができた。音楽の多様化により、所謂「今年の曲」が出づらくなった状況を鑑み、オールタイムベスト的に改めて聴きたい曲と近年バズった楽曲を交互に繰り出していくようなスタイルなんだろうなと思った。そうせざるを得ないという面もあるんだろうが、近年のバズ曲で楽しんだ後は往年の名曲で感慨にふけるみたいな楽しみ方ができた。世代が離れば離れるほどにビートパターンや言葉のハメ方が違いすぎて邦楽史をザーーーっとさらっていける紅白は興味深いなぁと感じた。特に後半からは目も耳を離すことができないほどに素晴らしいパフォーマンスのオンパレード。

個人的に気になった若手陣としては今回のベストアクトとも名高いばう君ことVaundy口からCD音源。いや、ストリーム音源ってのが正確なのか?Aimer・milet、いくらちゃんという現代の3女神すら超える声の響き聴かせていただいたし、一番会場をブチ上げていた。そしてもはや日本随一の名曲生産者と化したOfficial髭男dismもドラマ「silent」の感動の雪の結晶演出が蘇るほどの熱唱も凄かった。このクッソ難しい『subtitle』をこれだけ完璧に歌えるのはきっと聡さんだけでしょうね。仕上がってた。

ベテラン陣営のパフォーマンスは全員に「くらい過ぎてしまって」もはや挙げられないほど。あえて、あえて挙げるとすればやはり加山雄三船長の航海した『海 その愛』でしょうか。歌は心を体現するその全身全霊をかけた歌唱に号泣してしまった。いや知っていましたよ、凄い人だなんてことは。しかしここまで全てを包み込まれるとは思わなかったじゃないですか。「そろそろ風さんやー♪」くらいの気持ちでいた自分を撃ち抜いていかれました。完全に大トリの風格。紅白これで最後締めていたら会場全員号泣してたんでは?

死ぬのがいいわ

そんなこんなで自分的には既に感動の臨界点に既に達している中での風。これは予想外だった。しかしそんな状態から藤井風に目も耳も離せないどころか全ての感覚を持っていかれる程、妖しく、艶やかで、芸術的で、鬼気迫るパフォーマンスを目の当たりにした。もうだめです。圧倒的オーラの泉。そしてもはやR指定がかかるんではというレベルで色気を醸し出す紅風様。いやー鼻血でウチに泉ができるところでした。

まずはどう出てくるのか、正に固唾を呑んで見守る。昨年は実家のワープ演出からのホールでのピアノ弾き語りパフォーマンスだったし、まぁ同じ手法は使わんだろなあ、いやいや裏の裏は表ということも・・・みたいに早口でブツブツ呟いているとNHK MUSIC SPECIALの映像が流れる。グランドピアノも会場にセッティングされており、特に波乱無く流れのまま曲にいく。

そこには何者かが憑依した真紅の藤井風。紅と白の法衣スタイルだが、実際にはライトアップで紅く染まり上がる。そして何やら小芝居的に顔を手で覆いながらクラシカルな超絶技巧からスタート。え?手が勝手に!?ってか出るチャンネル間違えた?とか色々想像できておもろい。

それにしても表情よ。完全に何か憑いてる顔。こんな表情できるやつ日本におるぅ!?と逆にニヤニヤしてしまう。

からのいつものイントロにシームレスに移行してゆく。ライブにおいては定番にもなっている流れではあるが、紅白で見られるとは!!一瞬のような永遠のようなイントロに乗せ、ついに第一声を放つ。言葉にはならない声、しかし確かにそこには藤井風の魂が、全身全霊が乗せられている第一声であった。軽やかで、澄み渡るようでいて深海にいるように深い声。それを聴くなり「あぁ、風だ・・・これだよこれ」という何の捻りもない感想を持ってしまう僕。だって本当にそれしか思わなかったんだよ!

そしてバンドメンバーが登場。ってかまたまたYaffleさんおるぅ。

風氏はピアノから立ち上がりキレッキレの動きで例の映像をバックに全身で『死ぬのがいいわ』を表現する。紅白のパフォーマンスはこの曲の真意を、世界観を伝える点を死ぬほど追求して演出されていたように思う。

特番でも本人が触れていたように、作者的には色恋の歌ではなく、「理想の自分≒ハイヤーセルフ」と出会うために生きる愛と誓いこそがこの楽曲のテーマである。

この深淵で理解し難い真意を、歌とピアノ以外に「演出」でも示そうとしたその矜持に感動した。それを藤井風を知らないお茶の間にも届く紅白の舞台で、だ。

燃えるような激情を表す「紅」、狂気的なまでのサイコスマイル笑顔や一点を凝視する「表情」やハンドサイン、屈伸や突然の倒れ込みなどの「動き」。その一挙手一投足一演出全てがテーマに結びついていた。これをアーティストと言わずなんと言うのよと。

歌唱後、倒れ込み「あんたとこのままオサラバ」するくらいなら死を選ぶ程の決意を体現した風さんに、その信念にまたもまたも「殺られて」しまった。

紅白を通しで見渡しても「この日最もアーティストであったのは藤井風と確信できる」、そんなパフォーマンスだった。最高だった。正直一度目は真意なんて理解できなくて、何も触れない司会陣に「えぇ・・・」と思ったが、何度も繰り返し見ているとその凄みに触れられなかったのかな、とも今は思っている。冒頭引用した「音楽への心からの愛が込められたパフォーマンス」だったからこそ、ここまで心に響いたのかと妙に納得してる感じ。

※後日追記分

ポッドキャストを聴いていただいた方に教えていただいた。

何と映像はおそらくこのパフォーマンスのために再度収録されていたよう。確かに見返すと変わっとる!!そして最後手の中に収まっている。絵的にも美しいし何らかの意味を感じさせる演出。これもさっきからずっと述べている総合芸術の一つなんすねぇぇ、凄い。

改めて、ここまで研鑽を積まれた風さんとそれを支えたチーム風&NHK演出陣ら関わった全てのみなさま、素晴らしい年越しを過ごさせていただきありがとうございました。

 

Podcastもやってます

文字で書くと冗長になりすぎるので泣く泣くカットした部分など、語り足りないことを音声でも喋ってます。聴いて!!

anchor.fm

 

いかがだったろうか

あ、新年あけましておめでとうございます。

今年も楽しく色々と風さんを追っかけて応援して行こうと思うとります。

素敵な年になりますように。

 

今年もどうぞよろしくお願いします。

 

それでは、お元気で。

 

死ぬのがいいわ

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「NHK MUSIC SPECIAL 藤井 風 いざ、世界へ」を観る前に前回特番と近況のおさらいしとこ

年の瀬、健康にお過ごしでしょうか。

僕はもう年末の紅白のために生きてると言っても過言でないほど毎日ソワソワしています。

今夜放送の「NHK MUSIC SPECIAL 藤井 風 いざ、世界へ」は年末のパフォーマンスに深く繋がっているはずなので全てをもれなく全力で楽しむために押さえておくべきポイントをまとめていく。

 

前回の「NHK MUSIC SPECIAL 藤井 風、届け世界へ」おさらい

録画HDを引っ張り出して久しぶりに観てみた。最高だった。

前回の特番の軸となっていたのは前代未聞の日産スタジアムでの無観客ライブ「FREE」。コロナ禍にあっても人々が真に自由に生きられるように願い、祈り、そして歌われた音楽で、誇張なく世界にポジティブバイブスを届けた伝説のライブであった。

 

この企画は元々は無料の有観客で実施されようとしていたが、その願いは叶わず無観客で配信という形式を取ることとなった。日産スタジアム自体がサザン、ビーズ、ミスチルといった日本のトップオブトップアーティストが特別なライブを行う会場な訳でキャリア2年目のソロアーティストが無料ライブを行う事自体相当にクレイジーだが、もう無観客でもやっちゃおう!!みたいな発想が異形である。他に配信特化会場なんていくらでもある訳ですよ、天気だって読めないし。完全に理の外側におる。

特番ではずっずさんと風さんの出会い、マイコーを中心とした彼の音楽的ホームを紹介しつつも、最終的には「FREE」に至る過程に密着取材された貴重な映像が随所に公開されていた。

ライブに込められた願い、故郷を訪れ思いを高める様子、過酷なリハーサル、そしてスランプ。一週間前だというのに声が上ずり裏返ってしまい、絶不調な様子までもが収録され、あの雨の滴る流麗なパフォーマンスの裏側には、当然ながら血と汗と涙の結晶が詰まっているのだなぁと人間味を感じた。もう一回通しで見返そうそうしよう。

また、特番では複数のリスナー目線からも語られていた。バークリー音大出身のアーティストやエド・シーランよりも風好きというNYのリスナー、双極性障害に苦しむYOUTUBERといった多彩な面子がそれぞれの思いを語り、日本のみならず、正に世界に届く風景もあった。おそらく今日の特番はこの点が強調されているはず。あとNHKさん僕にも枠ください5時間でも10時間でも話すんで。

番組中の名言抜粋

自分好みの風ワードは以下の通り。

いつかニューヨークに求められるような存在になれたらいちばんいいかなとは思ってますね。

→NYとかいう世界のエンターテインメントの頂点。その街に憧れ、心から楽しむ様子がみてとれるが、真剣な目は決して冗談を言っている訳ではない。初の海外武者修行から高い志を持っていたんだなぁと改めて実感。

 

・(デビュー直後のコロナ禍で不安はあったかと問われ)それがなかったんですよね。ただただ自分を通して出てきてくれた作品がいろんな人に届いたら嬉しいなって思いだけがすごいあった。

→デビュー直後の最も重要な時期にコロナ禍に陥った風。僕なんて何百回「コロナじゃなけりゃあ・・・」と愚痴ったか覚えてすらいない。ただただ集中して素晴らしい作品を届けようという一心でやってきたのか伝わった。

 

・ 場慣らし。

→恒例の会場付近ランニングでの一言。ただ一言だけだが、自分の思いを高め日産スタジアムという巨大会場をホームにするという大事な儀式みたいなもんだろうね。こういう一見必要に思えないことがライブの出来を決めたりするから面白い。

 

無駄な曲は一切作りたくない。1曲でもいまいちやな思われたら悔しい。

→これがどんだけ難しいことか想像もつかないが、藤井風なら大丈夫と思えてしまう謎の安心感、信頼。「信頼と実績の藤井風」はこちらです。

 

無観客だからこそひとりひとりに、聴いてくれとる人の心の内側に「ズドーン」と届くように歌いたい。

→最後はこちら。心の内側どころか毎回毎回心臓抉られてるんですけどね。僕のハイヤーセルフに届けられすぎててそろそろ危ないんですけどね。

 

「NHK MUSIC SPECIAL 藤井 風、届け世界へ」で抑えておくべき3点

前回をおさらいしたところで、確実に取り上げられるであろう風さんの近況で抑えておくべき3点を書いていく。おそらくこの3点が特番の軸として語られるんじゃないかな。

 

1. 死ぬのがいいわの世界的ヒット

もはや説明不要すぎて書くのも躊躇するレベル。

名実ともに世界が風を見つけた現象をどう切り取ってくるか楽しみ。

 

2. "hometown of my soul"、インドへの来訪

『grace』でのMV撮影で訪れた心の故郷。"HELP EVER HURT NEVER"、"LOVE ALL SERVE ALL"という彼を表現するのに最も重要な言葉の源流でもあるこの土地での密着はこの番組の肝になるはず!!このパートが一番楽しみ!!

 

 

3. 「風の秋まつりFujii Kaze LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE 2022」

2022年どころか自分の人生でのオールタイムベストライブにすらなってしまった秋まつり。なんだか懐かしいようなこの前行ってきたような不思議な感覚だが、自分の感想以外に違う切り取り方も観てみたいと思っていたので勿論楽しみ!

 

imlv40.hatenablog.com

 

いかがだったろうか

ちょっとスランプ気味というか忙しすぎてブログと向き合えていなかったんだが、風成分を年末にかけてたっぷりと摂取できそうでまた上向いていけそうな気がしてる。

とにかくソワソワしてるのではよ観せて!!と思いながら今日の特番と大晦日だよ藤井風を待っている。

それでは、お元気で。

 

 

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