新アルバムとは言えないほどに遅くなってしまったが“Bitter, Sweet and Beautiful”ツアーも終わったので、アルバム3曲レビューしてツアーの感想を述べたいと思う。
前回記事のイエモン特集からの振れ幅半端ない。
そう、ロックもヒップホップも大好き雑食系のJ太郎です。
今回の記事は最高にかっこいい「オジサン」達RHYMESTERのアルバムについてです!オッサンじゃないよ!!
RHYMESTERは日本語ラップ黎明期を支えてきたレジェンドユニットの一つ。
色々な魅力にあふれたユニットだが、大ベテランなだけに音楽的にすごく幅がある。
HIP HOPの原点とも言えるべきアナログレコードの2枚使い(レコードを2枚使ってビートをループさせること)を基本としたプレイスタイルにこだわり、
例えば、ブレイクビーツとスクラッチで聴かせるライムスターイズインザハウスやWe Love HIP HOP等は色んなアレンジもされるしライブで聴いていて一番面白い。
一方でグレートアマチュアリズムみたいな一風変わった曲も作ったりする。
コラボレーションアーティストも同じようにレジェンドであるキングギドラやソウルスクリーム、若手のROMANCREW、ジャパレゲの代表格FIREBALLといったように多様な顔ぶれが並ぶ。
HIPHOP・レゲエだけでなく故忌野清志郎、クレイジーケンバンド、SOIL&PIMP SESSION等ロック、ジャズのボーダーを越えて様々なコラボも魅せる。
また、魅力の一つに彼らの楽曲のメッセージ性がある。
彼らのメッセージは「現状は確かに暗いぜ、でも嘆いても何も変わらない、考えんのは君だ、行動するのは君だ、選ぶのは君だ、他の誰でもないんだ!」
熱くて真剣に考えると知恵熱でちゃうようなメッセージを彼らにしか発する事ができない韻と語彙で、ガンガンぶつけてくる。
物事の多面性を考えさせられるとか、自分という人間はもっと気高いはず!とか熱い熱量をもったメッセージを結成して20年超えてるグループがガンガンに放ってくる。
これはすごい事ですよ。
決してお気楽で分かり易いメッセージでは無いから一般受けしないし、TV露出もあまりしない。(いいとも出てたけど笑)
だけど音楽好きなら知っている、日本語ラップ好きなら絶対知ってる、そんなアーティスト。
さて本題
Bitter Sweet and Beautifulというアルバムは俗にいうコンセプトアルバムである。
まるで一本の映画のような、伝えたいテーマがあり、アルバムを通して緩急をつけながら甘く、苦く、さりとて美しいこの世界、人生を描いたアルバムといえる。
補足するのであればさしずめLife is “Sweet, Bitter and Beautiful”といったところか。
映画好きな宇多丸師匠のこと、今回は一本の映画を作るつもりだったんでしょうな。
そんなこともあり、アルバム通して聴くことに意味を持っているので、3曲レビューなんぞ大して意味はないのだが、それでも色んなリスナーがいることを考えると3曲チョイスしておきたい。
それでは行ってみよう!
1.ガラパゴス
物真似 猿真似だって ずっと言われてきたぜ 何度だって
それが物真似 猿真似なのか どうか証明してやるぜ 何度だってMummy-D
遥か太古からの輸入文化大国
ま、どこの国もそんなもんで大部分がおあいこな
ごちゃ混ぜの遺伝子併せ持つ 異形のキメラ
自分らだけ違うと思ってないか? そこの君ら宇多丸
稀代のビートメイカーBACHLOGIC提供の攻めまくりビートに乗せ、差別されてきた日本語ラップの歴史について怒りをぶちまける!!痛快!!
ま、宇多丸師匠のバースの内容をとにかく言いたかっただけのような気もするけど笑
こじつけるならこのアルバムでのBitterの位置づけ部分だと言えるか。
やはり日本語ラップというジャンルは世間的からはかなりBitterに扱われてきたと言えると思います。
ラップやヒップホップが嫌いな人には当然のように嫌われ、USラップ好きからもダサイ、こんなん聞くなら本場もんのラップ聞くわ。と言われてきた歴史。
そして最近では「為末大事件」として、ネットを賑わせた。
MVにもデカデカと「為末大」の文が…
この外野のピーチクパーチクがライムスターに火をつけた。
「じゃあロックだって、そうですよね?」ぐうの音も出ない正論だと思うがどうだろうか。したり顔で、物申したったーー!!的な奴に一発ぶち込んでやった!そんな楽曲。
そんな背景を知って聞くとより理解が深まる日本語ラップへの熱い思いと世間の偏見に対するアンサーを変速ビート上でラップする。
2.サイレント・ナイト
眠らぬ街の 眠れぬ夜に
コトバの神よ 与えたもう ときめきを
何か産まれそうな そんな気がしてる
きっと あともう少し あともう少し あともう少しで
RHYMESTER
このアルバムで一番綺麗な曲。精神が浄化される曲とでもいおうか。
Bitterなことばっかなこの人生だけどもう少しで、ほんとあともう少しで「何か」が生まれそうな気がする。
夜中に何か作業に没頭していて、寝りゃいいのにまだ寝たくない、この感じをもっと続けていたい、といった経験をしたことがないだろうか。そんな時はぜひこの歌をBGMに。
僕はDさんのラップが日本人のラップで一番好きで、RHYMESTER曲のバースは大体Dさんのバースが好きなんだけど、この曲は宇多丸師匠のバースが好きだ。
歌われている情景が浮かぶわぁとランニングしながら夜に一人で浸ることができる。
“Bitter, Sweet and Beautiful”という映画におけるラストシーンだと本人達も位置づけており、救われるパートだと感じる。
3.マイクロフォン
2010年発表の「マニフェスト」における「ラストヴァース」級のアンセムというべきか。。。
Bitter Sweet and Beautifulというドキュメンタリーにおけるエンドクレジットである。
なんかそんなに人気ないんだよなー、多分マイク業以外の人に共感しにくいからなんだと思うけど。
俺は人前でマイクを持つ機会が結構あるから、「せやせや」と感じてるんだけどね。
「自分の言葉」をマイクで拡声してアウトプットする覚悟を歌ってる歌だから、機会が無い人には自分毎に捉えにくいのかもしれないな。
ま、結局マイクロフォンは比喩であって、色々なことに置き換えられるから万人のアンセムとなっても俺はいいと思うぜ、ってかみんな好きだよなこの曲!?笑
射程伸びたぶん 比例して増えていくリスク
気づけば傷つく だが傷つくほど気づく
つまりNo pain, No gain 自分だけの意見
保険かけずLet's play the game, OK?
花咲け スタイルとスタイルのウォーズ
武器は剣? いやペン+マイクロフォン!宇多丸
それは俺の短き腕の延長 それは俺のか細き声の延長
それは 俺らの豊かなイマジネーション
何倍にも何十倍にも 何千倍にもしてくれる棒さ
そうさ棒さ ただの棒さ されど人生棒に振る価値のある棒さMummy-D
こんな感じです
以上いかがだっただろうか、マジでこのアルバムは聴きこむ価値有りまくりなのでぜひ通しでアルバムを聴いてみてほしい。
思うにTBSラジオ「ウィークエンドシャッフル」を聞いたり、いろんなインタビューを読んだり、ライブに参加してMCで思いのたけを聞いてある程度RHYMESTERというグループを理解しているからこそ深くわかる、伝わるメッセージが多い気もする。
つまり、「わかる人にはもっとわかる」という色が濃いアーティストであるということだ。
内容が濃いので、イージーリスニングにはとても向いていないのだがそこがいい。がそれゆえに門戸が狭くなるというジレンマを抱えつつ今後も彼らはシーンを進んでいくんだろう。
僕はずっと聴きつづける、RHYMESTER頑張れ!!もっと流行れ、売れろ!!でもそこそこで…と複雑な感情を抱きながら。
Vol1は以上終了!後日Vol2でツアーレポートをお伝えするぜぃーー
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