僕:もうすぐスピッツのアルバム出るよ!
友人A:へぇー
友人B:てかまだ活動してんねんな
僕:いやいや、めっちゃいい曲出しまくりやで!むしろ完全にパワーアップしてるし!!
友人A:へぇー
友人B:まぁでもなんだかんだスピッツってチェリーとロビンソンと空も飛べるはずくらいやんなぁ?
僕:………
最近マジにこういうやりとりがあった。
CDが売れない時代だし、スピッツも前ほどテレビに露出してないし最近の曲の知名度が十分では無いのは仕方ないのかもしれない。
だけど、知ってほしい。
スピッツはチェリーとロビンソンと空も飛べるはずだけではないのだと、
最近のスピッツは昔と変わらず心にしみる名曲を作り続けていることを。
そして今の時代に必要とされているバンドは実はスピッツなんだと。
という訳でスピッツのアルバム直近3枚分遡ってみたいと思う。
さざなみCD
とは言っても9年前のアルバムなんですがね。
こちら、結成20周年の2007年にリリースされた12枚目のアルバム。
寄せては返す小さな波紋、さざなみのようにように心を震わせてくれる、透き通った水のような名盤だ。
百読は一聴に如かず、とっとと曲を紹介していく。
なんでマサムネさんの声はこんなにも胸をグッと掴まれるんだろう。
もう日本人のDNAに刻まれ始めているかもしれないね。
君を歌うよ 小さなことが 大きな光になってくように
かき鳴らしては かき鳴らしては 祈ってる
スピッツの歌詞からは行間を読む、ということを学ばされる。
切れた電球を今 取り替えれば明るく
桃の唇 初めて色になる
この2行だけで、白熱の蛍光灯ではなくほんのり明るい電球の光が部屋を包んでいること、そしてその暖かい光でおそらく女性のピンク色の紅を塗っているであろう唇を見て、男性の心がぎゅっと掴まれていることがわかる。はぁ、すごい。ため息しか出ねぇよ。
スピッツ「砂漠の花」 JAMBOREE TOUR 2009 ~さざなみOTRカスタム at さいたまスーパーアリーナ
終わりと思ってた壁も 新しい扉だった
もう嫌だと嘆いても、何も変わらない。
そこから這い上がるための力強い歌だ。
はじめて長い 夢からハミ出す
考えてやるんじゃなくて 自然にまかせていける
砂漠の花の 思い出は今も 僕の背中をなでる
生きていく力をくれたよ
人との別れを「長い夢からハミ出す」と表現する発想力に脱帽。
色々な解釈ができると思うが、「愛した人との別れの歌」としてミスチルの「やわらかい風」と比較しても面白い。
とげまる
- アーティスト: スピッツ
- 出版社/メーカー: A-hi Records
- 発売日: 2010/10/27
- メディア: CD
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とってもかわいい名前がついた2010年リリースでスピッツの13枚目のアルバム「とげまる」。
名前はかわいらしいがこちら、近年のスピッツで一番好きなアルバムであり、ギターポップ の最高峰のアルバムだと思っている。
SPITZ Live " 恋する凡人 " with korean sub
今 走るんだどしゃ降りの中を 明日が見えなくなっても
君のために何でもやる 意味なんてどうにでもなる
力ではもう止められない
イントロのリフでもう勝ち確である。キャリア20年を超えるバンドに、なぜこんな甘酸っぱい曲が作れるのか、もう意味がわからない。
君みたいな良い匂いの人に 生まれてはじめて出会って
顔が可愛い、声に萌える、巨乳、、、いろいろと女の子のチャームポイントはあるけど、そういうはっきりしたモノではない、あの何だか甘い、何と表現したらいいかわからんあの感覚をこんなに適切に表現してくれる歌詞に初めて出会ったよ、僕は。これ以上は言葉にできない。
ギターがドラゴンの鳴き声に聞こえるよー、すごいよー!
君に夢中で泣きたい ゆらゆら空を渡る
燃えているのは 忘れかけてた 幻のドラゴン
「 君に夢中で泣きたい」だって?泣きたいのはこっちだよ。となるほどの爽やかさと切なさと熱さを同時に併せ持つこのフレーズ、歌。ふつふつと力が湧いてくるのを感じるぜい。
明日には会える そう信じてる
あなたに あなたに
眠れない時は部屋を真っ暗にして、この曲を再生してみよう。心地よくループする鍵板の音とマサムネさんの声であっという間にまぶたが重くなるぞ。
サビで「あなたに」・「真中に」・「新しい」で韻を踏み、これまたループ感を増している。 「な」のミックスボイスの出し方が個人的に超好きだ。
小さな生き物
近年の作品の中で最も現実的で、力強いアンサンブルを奏でた14枚目のアルバムがこちら。震災の影響を受け、それがよく歌詞に投影されている。ともすれば暗くて鬱々としたメッセージになりがちなところを、さすがスピッツ。人々に希望を灯すメロディ&メッセージを放つまさに「王道アルバム」といって差し支えない。
(ヨウツベになかったので、、、)
未来コオロギ 知らないだろうから ここで歌うよ 君に捧げよう消したいしるし 少しの工夫でも 輝く証に 変えてく
マサムネ氏曰く、コオロギとはバンドマンのメタファーだそうな。ここで歌うことによって消したいしるしを変えていく。先ほど述べたように、震災の影響を強く受けたであろうバンドの強い生きてく覚悟と希望が伝わる名曲だ。
スピッツは変だ。本性が全くつかめない。
「楓」のような震え上がるようなバラードがあれば、「君のおっぱいは世界一」と連呼する曲も作ってしまう。当時のマサムネさんはおっぱいに宇宙でも感じたのかね。
「潮騒ちゃん」なんてタイトルをつけて、違和感なく連呼できるのはスピッツくらいのもんだろう。
夢なら 覚めないで もう少し同じ匂いの風 かいでいたい
きらめくファンシーな世界には 似合わねーって 茶化すなよ
なのにこんな核心ついちゃうような表現を持ってくるのがスピッツたる所以だ。
スピッツ「僕はきっと旅に出る」(LIVE DVD & Blu-ray『JAMBOREE 3 “小さな生き物”』より)
僕はきっと旅に出る 今はまだ難しいけど
未知の歌や匂いや 不思議な景色探しに
アルバムを締めくくるラストナンバー。
「未来コオロギ」で歌った強い決意の具体的な形、それは旅に出ることだ。
何のために生きていくのかという根源的な問いに、「そりゃ新しい何かに出会うためでしょ」と爽やかに返してくれそうなこの歌にどれだけ救われたことか。
たぶんそれは叶うよ 願い続けていれば
これ以上は言葉にできない。できないんです。
最高に良かったっちゃない?
もう幾つ寝るとニューアルバム、「醒めない」がリリースされる。果たしてどのスピッツの顔を見せてくれるのか。
早く歌詞を読ませて欲しい。そして音を聴かせて欲しい。
新しいけど変わらないそんなスピッツを首長くして、待っている。
THE GREAT JAMBOREE 2014“FESTIVARENA”日本武道館【Blu-ray】
- アーティスト: スピッツ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2016/01/01
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