ミスチルのアルバム聴いた?
毎回アルバムが出たら、歌詞カードを目で追いながら深くその世界に潜るってのが恒例になってる。初めて「彩り」を噛み締めた瞬間のあの感動は10年経っても忘れちゃいない。
そんな聴き方をして、リリース後ずっと触れてた今アルバムで一番刺さった曲、
「海にて、心は裸になりたがる」について書いていきたい。
ミスチルのアルバムの2曲目
ミスチルのアルバムにおいて、2曲目はひじょーーーーに重要だ。
重要というか、アルバムのキラーチューンを大体2曲目に持ってくる可能性が高い。
シフクノオト→ PADDLE
IT'S A WONDERFUL WORLD → 蘇生
[(an imitation) blood orange] → Marshmallow day
Atomic Heart → Dance Dance Dance
SENSE → 擬態
REFLECTION → FIGHT CLUB
うーむ名作揃い。2曲目ベストとか売って欲しいぞ。
ライブ映え最高の「Monster」とか個人的には大好きな「その向こうへ行こう」とかはキラーチューンかと言われるとそうではないかなとも感じるが・・・
ま、あくまでもアルバムコンセプトに左右されるものの、2曲目がそういう傾向にあるというのはファンでない人もわかってくれたと思う。
そして、今作の2曲目こそが、「海にて、心は裸になりたがる」なのさ。
「海にて、心は裸になりたがる」
曲調的には最近のトレンドなんてガン無視である
ギターはダウンピッキングだし、80年代っぽいビートロックだし。
しかしなんだこの瑞々しさは・・・デビューしたての10代のバンドだってもうちょっと捻くれてるわ!
それをもう48歳のオッサ、オジサマがこんな曲やってることに「ロックって最高やな」と心底思うのだ。
そして歌詞。まず印象的なフレーズ。
重箱の隅をつつく人
その揚げ足をとろうとしてる人
画面の表層に軽く触れて
似たような毒を吐く
明らかに昨今のSNSを中心としたインターネットでの下らない争いについて批判してるよね。
「スマホをいじって、SNSで悪口を書く」を桜井和寿が表現すると「画面の表層に軽く触れて似たような毒を吐く」となるのよ、すごくないですか奥さん。
自分も昨今の炎上事件とかはファッキン下らないと辟易してたし、そんな世の中の潮流に対して、桜井さんに「どうでもいからいっぺん裸で踊ってみろよ」、って言われるのはすげー救われた気がする。
ちなみに、いつもの桜井節で「裸になりたがって」と、「あなたに会いたがって」でしっかり韻踏んでる。※母音で表すとa a a i a i
意味が完全に通りつつ、自然な韻を踏めるのは流石の一言。
消極的な人、上から目線の人、わがまま過ぎる人、自惚れが強い人、可愛げのない人、注目されたい人、そんな色んな顔を持つ全ての「あなた」を解き放ち、それでも必要としてくれる人はいる、という強いメッセージを歌われた日にはもう目頭が熱くならない訳ないよね。
めちゃめちゃ好きです、ハイ。
アルバムタイトルの意味
前回「重力と呼吸」というタイトルが意味わからんと叫んでいたが、
このアルバムを自分なりに解釈すると、
「そこに当たり前に存在していて普段気づかない、でもなくてはならぬ物」、そんなアルバムに、ひいてはMr.Childrenになりたいっていう決意表明がこのタイトルにさせてるんじゃないかと。
僕たちへ向けた、「重力」と「呼吸」のように意識せずとも当たり前に適応してしまう、そんな淀みなく瑞々しい人間賛歌こそが、このアルバムの本質なんだと思う。
出力が小さなただただ古いだけのギターの
その音こそ歪むことない淡く蒼い願い
サステインは不十分で今にも消えそうであっても
僕にしか出せない特別な音がある
きっときっと Oh〜
皮膚呼吸/Mr.Children
淡々と歌われたこのフレーズこそが、今のミスチルの スタンスそのもの。
その特別な音に今日も僕らはやられてしまう。