早く新曲がリリースされないかと、もう100年くらい待った気でいる。
楽しみにしていたツアーも目処が付かず、半年近くもリリースも無い中、ふと飛び込んで来たニュース。
King Gnu
— 常田大希 - Daiki Tsuneta (@DaikiTsuneta) June 13, 2020
来週6月19日のMステで
“The hole”を演奏します
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迷いや混乱に満ちた情勢の中,日々SNSなどでも攻撃的な発言が目につく今一体何を歌うべきかと考えた結果, 一番優しくて強い歌を届ける事を選びました.
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魂ぶち込んで届けますので是非テレビの前で待機お願いします🙇🏻♂️https://t.co/mAkiW7lHAu pic.twitter.com/uiMpBXy2vH
は?最高なんだが。
マーケティングのための出演じゃなく、一つ前のアルバムからだろうが、シングルカットされていなかろうが、今必要なメッセージを、歌を届ける。これがKing Gnuというバンドに痺れる憧れる理由ですよ、マジで。
この前も書いた気がするが、2020年はコロナから端を発する世界中の混迷、それに呼応するようなSNSでの誹謗中傷の嵐。過日、King Gnuというバンドもその嵐の中にいた訳で。それこそ井口理の心にはtwitter辞めざるを得ないほどのデカイ「穴」空けられた訳で。
人々の荒れた心模様が暴かれることとなった状況で、常田大希自らが「最も優しく、強い歌」と表現するこの"The hole"のチョイス。これは本当に良い文脈。
あえて「歌」と表現してあるので、今回は井口ボーカルに注目して書いていきたい。
だいぶマニアックでおもんないかも知れないけど、とにかく伝えたいモードなので気にしねぇ!
The hole
バンドとしては2枚目のアルバムとなる"Sympa"の12曲目、実質的なアルバムのシメ曲でもある。そしてツインボーカルスタイルではなく、Vo. 井口の真骨頂とも言える独唱スタイル。
もはや書くまでも無いが、井口理というのは本当に歌うま男だ。声楽出身ということもあって培ってきた歌唱法を駆使しながら、僕らの涙腺を刺激するようにKing Gnuの世界観を「表現」してくる。
そして「嫌われない声」と評される井口ボイス。この声無くしてKing Gnuがここまでの人気を獲得する事はあり得なかったはずだ。ただ声が高いだけってのとはまた違うんだよな。カバー動画や歌ってみた動画なんて星の数ほどあるけど、めちゃめちゃ違和感あるし。
井口理の歌は何がすごいのか
彼の歌は地声と裏声の切り替えのシームレスな切り替えで成り立っている。(継ぎ目が感じられないほどスムーズだって事な)
そして、地声と裏声と一口で言っても、多くのテクニックを使い分けている。
ウィスパーボイス:
息をたっぷりと含んだ声で、ささやく必殺の声。人間AMSRと言っても良い。
エッジボイス:
Prayer Xの出だし「あふれだした」が一番わかりやすい。喉をガラ
っとさせてアクセントを付ける。代表的なとこでは平井堅も多用するテク。
ファルセット:
弱い裏声。井口ボーカルの最大の特徴であり強み。その優しさシルクの如し。
ビブラート:
声を揺らす事な。曲が単調にならないようにアクセントを付ける事もそうだし、出来ると声の消耗も抑えられる。
例を挙げて見るとThe holeの前半のフレーズ、「自分の心模様を見ているのだろう」は今挙げた歌い方が細かく使い分けされているのでよく聴いてみて欲しい。
じぶんのこころもようを〜みてるのだろうー
※文字色は上の色と対応してます。
ウィスパーから入って、継ぎ目無しにファルセットへ移行。そのまま少しビブラートかけて喉をエッジに使って、ウィスパーに戻る。
君の喉どうなっとんじゃ?テクニシャンすぎるけど長年の努力の賜物何だろうな。パネェっす、井口さん。ワンフレーズとっても実はこんなに細かいって事が伝わっただろうか。
もう一つ。
ここはあえてマニアックな息遣いに注目してほしい。白日でも彼の息を吸う音から始まるのがわかるように、特に井口ボーカルはこのブレス(息継ぎ)がめちゃくちゃ強調されてレコーディングされてる。これが歌唱の癖なのかミックスの段階でそこも意識してるのかはわかんないけど、とにかくエロい。そしてそれがよりこの曲を生々しく、人間臭くしている。今まで語ってきたようなテクニック+息遣いで、
あなたの正体をあなたの存在を
そっと包み込むように僕が傷口になるよ
と歌われてみ?「トブ」で?
しかもここにピアノ、シンセベース、渋くてスローなドラム、そしてストリングスが重なる事で、ドラマティックが止まらない仕組みになってる。いかん、褒めるとこしかなくて逆に胡散臭い。
いかがだったろうか
メディアに注目され、一挙手一投足が見られる状況になったKing Gnu。
僕の感覚でしかないが、井口理という男はとてもとても優しくて繊細な人間だ。ラジオやSNS、様々なインタビューで彼の言動をチェックする限り。
それが歌にも、時に痛いほど表現されてる。彼の歌に癒され、励まされ、感情を揺さぶられて、心の「穴」を埋めてもらった人も多いはずだ。
気づけば誰かの物差しで人と比べた未来に傷ついて
身体にぽっかりと空いたその穴を埋めてあげることが出来たのなら
きっと本心からこのフレーズを歌ってるんじゃないかな。だから人に届く。
注目される分、傷付く事も多いだろうけど、その穴は誰が埋めてくれるんだろう。家族?恋人?メンバー?
イチファンの力は小さいかもしれないけど、埋めて貰った分はみんなで傷口になれたら良いよね。これからも超応援したい。
それでは今日はこの辺でアディオス。
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