11/14追記
ライブ映像がアップされてたので追記。
ピアノの寄り掛かりといいマイクの持ち方といい男前すぎるな。反則!
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『青春病』と『へでもねーよ』。
デジタル配信にてリリースされ、なんと2曲同時に聴くことができた。
唐突に聞くけどどっちが好き?
・・・
・・・
はい、ありがとう。
僕の独断と偏見で割り出した値では7,8割は『青春病』、でまぁいいとこ2割強が『へでもねーよ』なんじゃないかな?
理由は2つ。
『青春病』のトラックはR&Bよりの"J-POP"、『へでもねーよ』は完全に"HIPHOP"だから。
『青春病』はそのタイトルに相応しく歌も含め爽やかな音色で鳴ってるけど、『へでもねーよ』はもうバッキバキのHIPHOPなトラック。彼のファン層からしてどっちが市民権得てるかってそりゃあJ-POPでしょうよってお話。
『HELP EVER HURT NEVER』の流れをそのまま期待していた人からしたら、完全に予想斜め上のトラックになってる。ここは後で詳しくふれたい。
そして、2つ目の理由は歌詞も歌唱も『へでもねーよ』はかなり怒ってる。これが現実に彼に起こった事象を歌にしているのか、世間のディスやギスギスに対しての立ち位置を表明しているのかはわかんないけど、とにかく怒ってる。だから、1回聴いて「もうええわ」ってなってる人もいると思う。
ジャケも中々に雰囲気あるモザイクアートだしな。
でもでもでも、
「なんか風君・・・めっちゃ怒ってる・・・ぴえん🥺 」
では勿体ないくらいこの曲マージでかっけーのよ。
という訳で僕は『へでもねーよ』派なのでその魅力を色々語りたい。
へでもねーよ
プロデューサー"Yaffle"の存在
再三繰り返して申し訳ないんだが、今作は何しろトラックがヤバい。
そのジーザスクライストな見た目とブッダのような御心から紡ぎ出すメッセージ性から歌詞に注目しちゃいがちなんだけど、その前に一人の音楽家だなって強く感じる。
そしてプロデューサーとしてタッグを組んでいるのは『HELP EVER HURT NEVER』のYaffle。編曲家として音像を決め、風さんの脳内にあるすんばらしいメロディーを形にしていくのに彼の重要性は絶対に認識しておくべき!どういうビートでどういう音を足してどういう構成にして・・・ってな具合の重要なお仕事。編曲ってなーに?って方は以下の分かりやすい動画をご覧あれ。
『作詞作曲』はわかるけど
— 🎍DIVELA .Ver2㌠🎍 (@MIX_Create) May 5, 2019
『編曲』ってなに~~~~????という方へ pic.twitter.com/BxgyexjU4r
ともかく彼ら2人の化学反応が生み出した産物である事は間違いないし、Yaffle氏は今熱いアーティストを片っ端から編曲してるのでぜひプレイリストをチェックしてみて、最高だから。
トラック分析
まず、自身が高校生の時に作ったキューティハニーの演奏を「サンプリング」してイントロの歌謡曲的なパートを作っている。
新曲「へでもねーよ」豆知識
— Fujii Kaze (@FujiiKaze) November 7, 2020
気付いた人もおられるみたいですが。。🤭
イントロのメロディは、高校生の時アレンジしたキューティーハニーのサックスパートの一部。
そして当時一緒に演奏した二人はまだ気付いてない😬w https://t.co/HaRbmKGBub
サンプリングとは何か↓
音楽におけるサンプリング(英: sampling)は、過去の曲や音源の一部を流用し、再構築して新たな楽曲を製作する音楽製作法・表現技法のこと。または楽器音や自然界の音をサンプラーで録音し、楽曲の中に組み入れることである。
Wikipediaより引用
引用する際はキーとテンポを変える事が肝。高くしたり、低くしたり、速くしたり遅くしたりループさせる、あるいはビートを打つことで面白いほど別の表情を持って聴こえる事がこのサンプリングの特徴。この手法で作られた名曲は数えきれないほどあるのけど一曲分かり易い例を挙げとく。ゴジラの超有名なアノ音楽をサンプリングして作ったのがコチラ。
周りくどくなったがトラックの中身に入る。
冒頭の10秒は自身がカバーしたキューティハニーの演奏をかなり和風&古風な鳴りにしてアレンジした音をサンプリング。そこからビートを打って、ヒップホップのとてもオールドスクールな、今の言い方で"Boombap"という種類のビートが10秒から22秒まで。
これはこれでめっちゃ僕好みで、初聴時は「え?もしかして風君ラップすんの!?」って思った瞬間に、アラーム音と共に超最新型な"Trap"ビートのハードなトラックに変身する。
この①昭和歌謡メロディからの②イントロをサンプリングして"Boombap"ビートからの③最新型"Trap"ビートへの3段階進化が鼻血出るほど麗しい。ここで鼻血1L。
かと思えば、
かと思いきや正反対とても平穏な新世界
願うはここへずっと居たいもう限界
神様、力をちょうだいあんたがいれば無問題
の部分はブレイク後にビートがBoombapに戻り、歌い方もウィスパー気味にして変化をつけ、「怒り」のテンションの歌い方から「祈り」モードに移行し、動から静に緩急をつける。ここで鼻血2L。
しかもしかもぉ!ずっと「怒り」だった歌詞が歌い方に呼応して、「願いと祈り」の
メッセージに変わる。歌のテンションとメッセージがきっちり連動してる。
この「願いと祈り」のパートこそ藤井風というアーティストが今作伝えたいメッセージなんだと思う。ネガティブとポジティブ、そして強さと弱さのジェットコースターでギャップにやられちまう。鼻血3L。
さらにさらにぃ!!
全小節のケツとか途中に"ai"の韻が仕込まれている。緩急の中にもヒップホップ的なアプローチでリズムとグルーヴを忍ばせる。鼻血5L。
書いてて興奮して失血死しそう。この前半だけでこれだけの聴きどころ。聴き手のためにこんなにも「意図」を仕込んでるアーティストがどんだけいるのか。。。その表現力に驚くしかありませんよホント。
伝わるかな?伝われ。
いかがだったろうか
多分このトラックを聴いて、一番歯ぎしりしてるのは同業者じゃないかな。藤井風のファンを公言するヒップホップアーティスト、DJ松永の反応とかちょっと気になる。
かたくなにタイアップもしない、テレビメディアに露出しないってスタンスで活動し続けている藤井風。
これからどういうヴィジョンでどういう展開を見せてくれるのかも期待しまくりたい。
それではこの辺でアディオス。