僕はレベル40

心が動いたことをかいていく

完全に邦楽界の「テッペン」獲りに来てる、YOASOBIの新曲『怪物』について考察する

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紅白終わってからのYOASOBIの攻勢がすごい。超すごい。

 

他のアーティストより遅れて紅白選出がアナウンスされ、かなり特徴的なセットでの演奏。激レアさも相まって、紅組で一番話題になったといっても過言じゃないと思う。

元々顔出ししていたいくらちゃんに加えてコンポーザーのAyaseも顔出しして、オールナイトニッポンやらのラジオパーソナリティ、各種バラエティ番組へのテレビ出演、満を持しての配信ライブ、ファンクラブ「夜遊」開設と攻め攻めの攻め。

極めつけは『夜に駆ける』、『群青』を含む新アルバム『THE BOOK』のリリースと、今までのイメージを覆すダークサイドシングル『怪物』の発表。しかもアニメ、”BEASTERS””のタイアップで。

 

これが首謀者Ayaseの戦略かSONYのマーケティングかはわからんけど、これ以上ないほど攻めていってる。ずっと潜んでいたのに紅白という視聴率の怪物番組をきっかけに全集中で前に出る。オーバーグラウンドからニコ厨だったサブカル脳の連中までまとめて取り込む戦略。

 

絶対に一発屋で終わらせない。それどころかむしろ邦楽界のテッペン獲ったるという強い意志を感じる。

今日はそんな攻めの姿勢の中リリースされた『怪物』について書いていく。

怪物

楽曲について

まず一言。曲がめっちゃ好み!This is ボカロPって感じ。

何が好みって、①ボーカルミキシング②電子低音に乗る鍵盤③多彩に変わるビートってのが主な所。

Vo.いくらの歌唱とミキシング。曲全編通してボーカロイドっぽいエフェクトがかかってて、当然ながら歌い方もボカロっぽくレコーディングされているが、出だしからブレスが強調されていて、ボカロと人間の中間のような不思議な味が出てる。すごい。

とりあえず出だしのブレスからの「あぁ」で5億点出てる。この歌詞にならない思い=「あぁ」はサビの入りで繰り返しでてくるのもポイント。

 

あとブリブリな低音の上に乗った味付けの鍵盤もセンスありまくり。紅白で披露されたさらながら往年のTKのようなAyaseの演奏。あのパフォーマンスちょっとGlobe感あったよね?新作の『アンコール』のようなピアノが全面に出た曲もあれば今作のように低音の上に音を折り重ねていくような楽曲もあって非常に幅が広い。

特に1分からは"Fear, and Loathing in Las Vegas"っぽさ溢れるkey使いが印象的だし、ラスサビではピアノとギターが絡んでクライマックスの演出が素敵。

最後にビートな。僕のブログではいつもいつも口を開けばビートビートって言ってるんだが、「ノレルか」、「踊れるか」を何よりも重視しているんす。この『怪物』におけるビートパターンの多彩さにはびっくりした。

最初はキックだけで一回ししてクラップを重ねたり、トラップに変わったり、ビート抜きでクラップ入れて途中からキックが入るところとかEDMテイストなとこもまた良し。

 

歌詞について

アニメタイアップ、というのは超重要な点だ。

僕の認識ではYOASOBIというユニットは「小説を音楽にする」というコンセプトをもった「プロジェクト」という理解だったのだが、今回はアニメ主題歌として提供されている。

この『怪物』がそのコンセプトから外れ、完全にBEASTERSのテーマに沿った書下ろしなのか、元ネタの小説があってさらにタイアップもされているのかで意味合いが変わる可能性があるよねって事は最初に触れておきたい。(まぁ9割9部BEASTERSだろうけど。)

 

さて、YOASOBIの歌詞を考えていくにあたって元作品を体験しておくことは必須なんだけどみんなBEASTERS観た?

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結論を言うと歌詞はもろ100%主人公のレゴシの心情と重なる。作者か?ってレベルで作品の本質についてしか言及してないってレベル。

クラクラするほどの良い匂いがツンと刺した鼻の奥

目を覚ます本能のまま今日は誰の番だ?

 消えない消えない味が染み付いている裏側の世界

 上の歌詞は肉食獣として草食獣との関係に葛藤するレゴシまんまだし、歌詞における「僕」をレゴシ、「君」をハルちゃんとすると当てはまりすぎる。

そもそもこの物語の本質はレゴシという若狼が「自分は何者なのか?」、「何ができるのか?」、そして「どう生きていくべきなのか」という事を、ルイやゴウヒン師匠といった他者との出会いとことん突き詰めた作品だ。

この世界で何が出来るのか 僕には何が出来るのか

 清く正しく生きること 誰も悲しませずに生きること

はみ出さず真っ直ぐに生きること それが間違わないで生きること?

ありのまま生きることが正義か 騙し騙し生きるのは正義か

僕の在るべき姿とはなんだ 本当の僕は何者なんだ 教えてくれよ

哲学的とも言える、人間の根本的な問いを投げかけた一作に『怪物』と名付け、ダークな疾走感を与えるAyaseの胆力に脱帽。

 

いかがだったろうか

元ネタを味わってこそYOASOBIの楽曲は生きる。自分が過去に書いた記事を引用するが、本作は漫画を読む⇒楽曲を聴く⇒アニメのループで、何度も楽しめて多角的にツボを突かれて、よりエモくなれるという仕組みが構築されている。

 

人気アニメタイアップという事で、ワンチャン世界にもYOASOBI旋風が巻き起こる可能性もあるし、今後も動きに目が離せない。

 

 

 

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