なんかタイトルだけ見るとダイエットソングみたいやな。
さて、"Fujii Kaze “Free” Live 2021"から約1週間が経過した。なんならラジオにしちゃってるレベルでアーカイブ活用してる。視聴のハードルが低かったので母にも広めたら、常田君も素敵だけど風君はカワイイ♡♡♡になってやがった。恐るべし風!あんなに常田推しだった母を。
「でも話し方がダイゴみたいね」
そこから僕の記憶はしばらく途切れている。オカン!僕のオカンマジで!
さて、今日は千鳥や藤井風によって上昇中の岡山弁プロップスについて話したい訳ではない。新曲、『燃えよ』について色々と書いていきたいのよ。
燃えよ
リリースの背景
フリーライブ後・・・どころではない。
終演直後に突如公開された新曲『燃えよ』。
楽曲について語る前に、リリースの背景については書いておきたい。
大まかなタイムラインとして、
1.7/21(水) Fuji Kaze “Free” live 2021特設サイトアップ&『燃えよ』歌詞発表
2.9/4(土) 13時からのフリーライブ当日、3曲目に弾き語りにて宇宙初披露。
3.終演後に突如フル尺音源が各種ストリーミングで解禁。
4.フリーライブ舞台裏解禁
こんな感じ。
コンセプトをはっきり打ち出したライブの特設サイトにてまさかの超超超大箱である日産スタジアムでのライブ開催決定。そして新曲の歌詞お披露目。
怒涛の同時多発攻撃により情報が多すぎて正直整理が追いつかない。そしてフリーライブ当日の予想外の曲順、曲調。極めつけは終演後約1時間以内にストリーミング解禁&フリーライブのアーカイブ&舞台裏解禁。
メッセージを先出ししておいて、フリーライブという瞬間最大風速を記録し、注目度が上がりきってからの、音源ドンッ!!
この辺りユニバーサルミュージックのマネジメント全体で藤井風をバックアップするぞっていう、攻め攻めの気をビンビン感じる。
歌詞について
上述したように先出しされていた歌詞。初読時、「これまた真っ直ぐなメッセージきたなぁおいぃ」と大谷君ばりの160kmの真っ直ぐ剛速球に驚いた。
風曰く、本人が必要として、あえて真っ直ぐすぎるくらいわかりやすい歌詞を書いたとの事。
The message of this song is quite straightforward and little bit childish.(中略)
But I kind of needed such a song to lift me up when I feel spritless or helpless.
Fujii Kaze free live 2021のMCより
子供じみたメッセージとは全然思わんけども、確かにこんな状況だったら変に複雑なものよりもシンプルで力強いメッセージの方が届きそうね。
すぐにわかるのは「燃えよ」と「もうええよ」の同一発音でのダブルミーニング。
これに加えて、助詞と使われる「○○もええよ」の3種類が”OEO”の母音で統一されて押韻されてる。
もう100回くらい書いたが、このライミング(押韻)の大事さは何度でも強調したいし、風曲がなぜ洋楽っぽく聴こえるかの一つの要素がここにある。
ライミングというのは別に「うまいこと言ったったわ!」とドヤるためのものではなく、まずリズムとして同じ母音の繰り返しがグルーヴを生む事がポイントだ。
もし仮に「もうええよ」が「もういいぜ」だった場合いろんな意味で超違和感あると思いません?きちんと岡山のアイデンティティを大事にしつつ、曲のグルーヴを生んでるってのはかなり高等技術。このあたり、ワードチョイス含めいつもながらセンス抜群であるよ。
で、歌詞の内容は一貫して、ハートに火を着けて前見て動いてこうぜって歌詞。
既存曲『もうええわ』が「諦める」という自分の心を変えて自由になる楽曲だったのに対して『燃えよ』は、「燃えよ、もうええよ」と人に促すというメッセージの対象が違ってるとこが興味深い。
あと、実は風詞はサビよりもむしろブリッジの部分が美味しかったりする。
確かなものには Keep, hold on
なら明日のことなど No, no baby
今日だけ見つめて Please stay strong
毎日が Birthday, we are babies
ここも"ON"と"Baby"で韻踏んでる。
注目すべきは2行目の"baby"と4行目の"babies"は用法が違うって事だ。
2行目は外国人がよく言う「ねぇベイビー」くらいの意味。一方、4行目は「毎日が誕生日で僕らは赤ちゃんみたいなもん」、つまり「僕らは毎日生まれ変われる」っていう強いメッセージ。だからこそ燻ってないでこの命燃やし尽くしてやりましょうやって曲全体のテーマと繋がってくる。素敵。
あれだけ英語で発信してるし、洋楽カバーしてるけどオリジナル曲に英語詞は少ない。レアな分大事な事言ってるので、英語詞が出たらまず深読みしていいと思う。
楽曲について
みなさん目を瞑ってください。
『燃えよ』、『きらり』と比べてピンとこなかったり、違和感を感じた人は手をあげてください。
・・・ハイ、みなさんの感覚はおそらく正常です。
好みの差はあれど、『燃えよ』のリズムがかなり複雑でJ-POPとかけ離れてるって事が「あれ?」っていう感覚を生んでると思われる。音楽においてリズムってのは最も重要な要素だしね。
『きらり』は四つ打ち*1ビートが中心のダンスポップミュージックであり、シンプルかつ土台がしっかりした曲。その上でさらりと乗る風ボーカルが気持ちいい。
対して『燃えよ』はめっちゃめちゃビートパターンが複雑。
出だしのスペーシーなイントロからトラップっぽいハイハットが散りばめられた1番。
サビ前のストップで溜めてパーカッション全開のサビ爆発、疾走感。極め付けはすげーブラックなオルガンソロまで搭載されておる。転調も多い。
おそらくだけど、歌詞が真っ直ぐな分、構成を複雑にする事で曲単体でのバランスをとっているものと思われる。確かにこれでJ-POP全開な曲調や構成だとそれこそChildishになりかねないし、ここはYaffleマジックだと思う。
他にも渋いシンセベースの入りだったり、やたらエフェクトが入ったボーカル、コーラスワークなんかも拘ってて、弾き語りと別物過ぎてもはやウケるレベル。
あと、曲の随所にかなりスティーヴィー・ワンダーみを感じる。
スティーヴィーについてあまり知らない人もいるだろうけど、御大はマイケル・ジャクソンと双璧をなすブラックミュージックのトップオブトップ。
とりわけ超名盤、”Talking Book”収録の”Don't You Worry 'Bout A Thing”なんかのラテン・ポップのソウルを感じる。
『燃えよ』はシンセとエフェクターかなり使ってるからわかりにくいけど、後ろで鳴り続けているパーカッションがこの曲のリズムを支えてる。わかりやすいとこで、アウトロのラスト10秒とかね。『燃えよ』というタイトルにふさわしいラテンの血が騒ぐ。
ジャケットも”Hotter Than July”とか “Songs in the Key of Life”の燃えるようなオレンジのオマージュなのかなって思った。
”Don't You Worry 'Bout A Thing”の歌詞の意味も
Everybody needs a change. A chance to check out the new.
But you're the only one to see. The changes you take yourself through
誰もが変化を求めてる。新しいものを見つけるチャンスを探してる。
けど君の変化は君にしかわからないんだ
みたいに『燃えよ』の意味に近いし後半のハイキーのミックスボイスの出し方もスティーヴィー感じる。「恥かいても」の「は」の音とかね。
このラテンポップに最新鋭のビートを加えてできたのが、この『燃えよ』って訳だ。
まぁあくまでも想像に過ぎないんだけど、風&Yaffleタッグの曲には色々妄想して楽しめる懐の広さと奥行きがあって好き。
いかがだったろうか
なんだかマニアックな方向になった気がするが、今回書いたのは以下の三点。
其の一
⇨チーム風によるリリースに至る舞台裏戦略がすごい。
其の二
⇨真っ直ぐな歌詞に隠された英語詞の深いメッセージ、韻とグルーヴ。
其の三
⇨歌詞とバランスをとる複雑なビートパターンにスティーヴィーのラテンポップをミックスした超手のかかった楽曲。
HELP EVER HURT NEVERからシングルとして5曲がリリースされた。
こうなるとどうしても期待してしまうのが2ndアルバムよね。
へでもねーよ、青春病、旅路、きらり、そして燃えよ・・・こんなにも毛色の違う楽曲達が調和するのか、まだ見ぬアルバム曲はどんなものか、想像は尽きないがとにかく超楽しみにしてる。
あぁ マジで何も怖くない この風のって進め先へ
世間も、ファンも、身内も全部巻き込んだ大風に乗ってネクストステージへGet it on。
それでは今日はこの辺でアディオス。
*1:バスドラムが1小節で4回等間隔で刻まれていること