書きかけの記事を全てほっぽり出して、手の動くままに書いていく。
すでに各所で報道されている、神田沙也加の急逝。
めちゃめちゃファンだったという訳ではなかった。
だけど、声優としてあるいは舞台俳優として自然に目と耳に入ってくるレベルで活躍していたのは知っており、あぁそう言えばダンガンロンパの赤松楓ちゃんはCV神田沙也加だったか・・・とかアナ雪の松たか子との姉妹コンビ良かったなぁ。とかそんなありふれた事を思った。
そうして報道番組を見ていく内にSayaka名義で2002年にリリースされたever sinceがふと聴きたくなった。
『ever since』(エヴァー・シンス)は、日本の女性歌手、SAYAKA(神田沙也加)のデビュー・シングル。
歌手としてのデビュー作で、作詞は本人、作曲はthe brilliant greenのメンバー奥田俊作が担当。
Wikipediaより引用
もう20年前の曲だしなんか良い曲だったのは覚えてる気がする・・・と思ってSpotifyで検索するとヒット。
「お、あるわ」と呟きながら再生ボタンを押すとのっけから涙腺を刺激するイントロが流れる。
もうめっちゃブリグリ。
リリース当時の僕はお子ちゃますぎて誰が作曲とか曲のテイストがぁとか一切気にしてなかったけど今の耳で聴くとめっちゃthe brilliant greenだった。
なんならそのまま川瀬智子*1が歌い出した方が自然なくらいだ。
しかし、Sayakaの第一声で世界に引き込まれる。
当時若干15歳。されど松田聖子ゆずりの可愛く、そして芯のある声。さらに曲調や歌詞もあいまって切なさと憂いとそして希望を感じさせる。
そして、あらためて感動したのは何より15歳で作詞したその言葉。
あの時咲いた花を
胸に抱いたまま
歩き出せずにいた
道が見えなくて
いつの間にかこの街から光は姿を消して
いいですか?
「松田聖子の娘、デビュー」という格好の宣伝文句があり、底抜けに明るい曲調と歌詞で出せばヒット間違い無しの時代にこの出だしは凄いですよ、マジで。
2002年はあややの『Yeah! めっちゃホリディ』が大ヒットしてる年だしな。そういう選択肢もあったかもしれない。
しかし、所謂アイドル路線では売り出さず少したどたどしくも、自分の言葉で丁寧に詩を紡いでいく、リアルなアーティスト「Sayaka」を表現するその姿を思って、改めて感動させられた。
神田正輝と松田聖子という眩いスター達の娘という輝かしくも十字架でもあったであろうレッテル。彼女なりの呪いでもあり、山も谷も光も闇もあった事は想像に難くない。
そしてサビ。
壊れかけた夢拾いあつめたらそう
立ち上がってずっともう前だけを見て
進んでいけばいいよそして
僕らのあいだを駆け抜ける"夜"は今
確かに何かの意味を
持って僕らを強くしていくんだきっと
Sayakaの透き通った声、奥田俊作の音作りとメロディーラインが僕の心にダイレクトアタック。
当時の自分がフラッシュバックして心が爆発して砕け散った。
と、同時にSayakaのこの20年を思って、二度と見ることはできない事実に気づいて泣けた。
自死か事故かはわからないけれども、少なくとも彼女が抱えた闇、そしてリスナーである自分の中の闇を照らす光がこの『ever since』にはあった。
僕はいつもそうなんだけど、亡くなってからその人の曲を聴いてはもっと生前に聴いておけばと後悔してしまう。多分この先もそうなのかもしれない。
最後に一つ思うのは、本人がこの曲を聴き返してくれてたら違う世界線があったかもしれないという事だ。
どんなものにだって耳をすまして歩く
あらゆるものに気づくことができるように
失わないようにきっと
胸の奥にあるほんの小さな勇気
強く抱きしめて僕は
どんな雑踏も時代も生きていこうと思う
綺麗事じゃない、確かにそこにあった揺るぎない少女の思いをどうか忘れないでいて。
今となっては、どうか安らかに。
*1:the brilliant greenのボーカル。Tommy february6(トミー・フェブラリー)としても活動