僕はレベル40

心が動いたことをかいていく

藤井風の「好きだよ」で鼻の下ブラジルに到達した

「次の新曲は英語の歌やろなぁ」

 

『真っ白』情報が公開されるまでは結構強めにそう思い込んでいた。

2024年、米リパブリック・レコードと契約し、テイラー・スウィフトら世界的スーパースターと名実ともに同じ舞台に立った風氏。密かに何かと努めて英語曲作りをする様がドキュメンタリーに捉えられていたこともあり、きっとアルバムリード曲あたりが出てくるんだろうと勝手に予想していた。

 

がしかぁし!

蓋を開ければ完全日本語詞であるどころか、メロディ強め極上ポップスのご登場。『Workin' Hard』のようにビート強めの楽曲を意識したとかでもなさそう。

僕は洋楽LOVER且つ邦楽LOVERという一番幸せなタイプの人種であるからして、完全両対応なんだが、今作には色々と「ぶち抜かれた」ので藤井風の新曲「真っ白」について色々語っていこうと思う。

タイアップ

もはや引く手あまたすぎて、手が取れんじゃないかくらいあらゆる方面からタイアップのお誘い受けてそうだが、そんな多数の選択肢の中で今回アンバサダーとなったのはなんと「い・ろ・は・す」。

「い・ろ・は・す」は、2009年の誕生以来、「おいしい」と「環境にいい」の両立を通し、人と環境にとっての心地よさを提供するミネラルウォーターブランドを志してきました。 

〜中略〜

“自分の幸せが、周りの人を幸せにする”という信念のもと、ありのままの自分を肯定する大切さを体現し、その楽曲やパフォーマンスを通して多くの人の心に寄り添う藤井 風さんをブランドアンバサダーに迎え、様々なコンテンツを届けていきます。

引用:「い・ろ・は・す」新アンバサダーに藤井 風さん就任!新CM「い・ろ・は・す きっとあしたも、いい感じ」篇

イメージぴったり過ぎる…コーラとかファンタじゃないもんな。確かにいろはすだわ。「六甲の美味しい水」過激派の我輩もこれには即派閥チェンジせざるを得ない。

で、公開されたCMがこちら。

爽やかの権化。清涼感が服着て自転車漕いでる。メガホンを取ったのは昨年『満ちてゆく』以来の山田智和監督。風&智和というピュアっピュアな二人がタッグを組んだからこそ生まれたこれしかないという映像美。

ただそこに存在するだけで光っている風氏だが、アイソレーションのキレ具合で映像随所にアクセントがつき、大自然の煌めきにまたメリハリがついてゆく。そしてただただ可愛い。なーにが「きっとあしたも、いい感じ」だよ。この映像見てるだけで「一生、いい感じ」なんだが?録画するとCMじゃなくて番組本編をスキップする機能が欲しい。

真っ白

好きだよ

とまあ語ってきたタイアップのために書き下ろされた楽曲『真っ白』はタイトルに偽りなどあろうはずがない驚きの白さ。「アタック」が顔面蒼白して逃げ出すレベル。まさか『grace』に並ぶ"pure-white"を感じられるとは思わなんだ。

そしてCM公開から2週間弱で楽曲リリース!

CMで先に100回以上サビのみを聴いていたからか、油断しててAメロが来る瞬間すげードキドキしたのを覚えてる。

風氏:ぶち抜かれぇ〜♪

ぼく:あ、これAメロくるやつだ。ってか当たり前か。1サビ終わったらAメロくるの当たり前だわ。え?どんな感じなん??あ、くるわくるわ。もうAメロくる。(時が減速し脳内で色々駆け巡る)

風氏:「好きだよ」

ぼく:ファぁぁxあっぁぁぁぁぁxぁぁぁい!

 

サビから間髪入れずの「好きだよは反則です。キーパーが手にボール持ったまま相手のゴールにダイブするくらい確実に点が入っちゃう。「好きだよ」聴いた時僕の鼻の下ブラジル到達してた。

楽曲の解釈

と、僕の脳内描写はこれくらいにしといて、ここまで真っ直ぐに「好きだよ」と表現したのは初めてのように思う。歌詞全体を見渡すと恋愛、それも所謂「倦怠期」モノの様相すら呈している。

藤井風楽曲の特徴として、「恋愛の歌?」と思わせつつ実は「Higher-Self」≒「理想の自分、神様的なもの」に辿り着く道のりを歌っているという多層構造になっていることも多い。

この楽曲もおそらく核心は「理想の自分に到達するために過去の自分を捨て去る」ということ。究極「手を放す 軽くなる 満ちてゆく」、そういうことだ。藤井初志貫徹。

ただ、もはや一周して恋愛の一幕を歌っていると言われても全然信じるくらいにいつもと違う。一人称が「私(あたし)」、「悪いのはそうよいつも私でいいの」という女性目線と認識できるワードチョイス。同じことを繰り返すことを避けてきた風氏ならそろそろダメ男を手放す気持ちくらい歌ってもおかしくはない。いやそれはおかしいか。

あるいは風楽曲でいう『さよならべいべ』に輪をかけて切なく「人」や「故郷」といった特定の「何か」を置いていき新たなステージに立つという藤井風自身の境遇を反映し、切なさを含んだ旅立ちを感じさせる楽曲にも感じる。

込み入ってきたのでまとめると、

1. 理想の自分への高みに登り、辿り着くために身軽になる歌

2. 別れを迎える二人の悲恋の歌

3. 次のステージに進む決意の歌(特に風氏本人の心情を反映)

といったように哲学的に捉えることも、とてもプライベートな状況を当てはめることも、郷愁を感じることもできる。きっとまだまだある。ほんでここまできて放り投げるのもどうかと思うが、全部正解だし僕が、あなたが聴いた心に感じたまま素直に受け取ればいいと思う。特に今作は憂いと切なさがマシマシにしてあって聴く側の奥底の不安とか心配事とか、心のやらかいトコもより剥き出しにされてしまう

藤井風楽曲は決して一つの意味に縛られない。百人いりゃ百通りの感じ方があるし、今日聴いた真っ白と3年後に聴く真っ白では感じ方も変わるだろう。だって風って一番自由に吹くんだから。年代、境遇に寄らず、大きな懐を持った楽曲を生み出す音楽家こそが真のアーティストだと信じてる。

「ゲーム」として捉えること

自分的に今回刺さったのは「ゲームとして捉える」という発想だ。

先に進まなければゴールできぬゲームなのよ

今作において印象的に出てくる単語ではあるが、直近で彼はこんなことを語っている。

シンプルに全ては自分を成長させてくれるために起こっていて何かしらが

成長なんかしたくないんですけど別にっていう人もいると思うけど

でもなんか 成長していかなきゃいけない 

最終的に そういう仕組みだと思うんですよね

どんなに遅くても どんだけ後ろ下がったりしようとも

なんだかんだで成長していかなきゃいけないゲームなんだよってことが僕の考え方の前提としてあるんで

引用:藤井 風 - "Feelin' Good (Documentary)" trailer

また、2nd アルバム収録の『ロンリーラプソディ』においても

孤独なんてゲーム楽しめばいいの

という表現を用いている。

「先に進まなければゴールできぬ」、「孤独」、「成長していかなきゃいけない」。なんとなく共通しているのは、どれもある種のしんどさを伴う事柄であるが、あえて「ゲーム」だと捉えることで楽しんでクリアしていくもの、あるいはクリアできるものとして僕らの心持ちを変えてくれるのが藤井風だ。そう言えば死生観についてもそうだったな。

何かを辛いものだと思って接するのではなく、全ては心の持ちようでちょっとだけでも心地良く日々を過ごせる。そんな事を極上の音楽と共に教えてくれているのかもしれないね。

別にゲーマーとかではなく、保育園で流行っていた電車のゲームとかを「楽しそう〜」って見ていた風氏*1からこの発想が出てくるのはとても面白いけど、だからこそ「ゲーム」という語をもっと広義的に捉えているんだと思う。

音楽性

散々解釈部分で述べてきたように何か一つの枠に当てはめられない、懐かしいけど新しい感情にさせられる。ただ楽しいとか悲しいとか単色ではない、心の平穏と憂いと激しさが一つに内在していてそれを音と構成で表現している、そんな楽曲

まずは冒頭、ありそうでなかった藤井風×ボサノバという組み合わせ。風ハミングと相まって癒しがとどまるところを知らない。共に日産〜アジアツアー2ndを駆け抜けたTAIKINGによるギターを基調としたサウンドが印象的だが、特に日産FGセットリストにおける『特にない』のアレンジを聴いた時にこの組み合わせはやば。過ぎる!!と思っていたが、きっとその延長線上にこの『真っ白』があるようにも思う。

今作において、プロデューサーがクレジットされていないということもかなり大きな事件だと思っていて、「曲もアートワークも今までとは全く違うプロセスで仕上がりました。」と本人が述べているように自身の制作過程においても、また変化を試みている。

あくまでも予想だが、今回の収録に参加したミュージシャンでジャムセッション的にアイデアを出し合い、それいいね!的に曲が生まれていくプロセスを経ての編曲者不在となっているのかもね。セルフプロデュースだったらその事をもっと押し出すだろうし。

びっくりした点は"NONA REEVES"の小松さんがドラムスとして参加している点。日本最高峰ポップンソウルバンド、ノーナと藤井風なんて相性良いに決まってる訳でこれはめちゃ嬉しい。

Electric Bass/Synth Bass: KOBY SHY

Drums: Shigeru Komatsu

Electric Guitar/Acoustic Guitar: TAIKING

Synthesizer: Fujii Kaze

それと、プロデューサーを立てない分エンジニアの小森さんと山崎さんの役割も音作りに関してめちゃ大きいと思う。Yaffle好き好きクラブ副会長の僕としては大層切ない部分もあるが、本人が強く意思表示した「成長していかなきゃいけないゲーム」として常に前に進む姿勢とぴったり符号している。正しく藤井風自身が一度真っ白な状態になって取り組んでいるということね。もうそれ考えただけで涙が出ますよ僕は。藤井言動一致。

風氏はどんな楽曲達にインスパイアされたのだろうかと持てる引き出しをひっくり返してみたが、自分としてはやはり「はっぴぃえんど」に通じるなと。風の字を冠した大名曲、『風をあつめて』のテンポを早めて聴いてみたりしたけど、かなり近しいソウルを感じた。

昭和レトロなアートワークもその懐かしさに一役買っていて、はっぴぃえんど繋がりでもある"日本ポップス界の巨人" 大滝詠一御大のナイアガラサウンドやユーミンの『やさしさに包まれたなら』等にも通ずる、「50年後も聴き続けられている」普遍的なポップスを強く感じさせる作りになっている。

現代の楽曲で近しい音を挙げれば、これまた僕が好み過ぎる大橋トリオになるだろうか。コーラスワークやオーガニックなサウンドメイキング、巧みなコード進行。コラボの多い彼がいつか風氏と交わる機会があったら自分がどうなるか本気で怖い。

www.youtube.com

この2日間、フリッパーズ・ギターの『FRIENDS AGAIN』か?とかくるりの『NIKKI』あたりの作風か?とか、いやギターサウンド的に吉川忠英御大か?むしろ聖子ちゃんだろ!とかとかとか派生して派生してもうめちゃめちゃ音楽を聴いていた至福。

色々とっ散らかっているが、邦楽史において脈々と紡がれてきた普遍的ポップネスを継承しつつも藤井風の作風は色濃く出ているのが『真っ白』だなぁと。ラストの落ちサビからのフェイクはもう藤井風印と言って差し支えなくカタルシスが押し寄せてくる。楽器としては使われていないけど、彼の声が、音階がピアノとして聴こえてくるよ僕には。

いかがだったろうか

真っ白って200色あんねん。」かつてアンミカもそう言ってた。言ってたよな?

聴く人によってその白さは200色どころか無限に広がってゆく。色んな解釈も捉え方もどっちでもいいのよきっと。

 
 
 
 
 
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相変わらず心は言葉を無くしてとはかけ離れちまったが、まぁ仕方ない。藤井風なら仕方ない。

またライブで聴きたい曲が増えたし、CMとテイスト違うであろうMVも気になりすぎる!色々と楽しみにしながら日々を過ごしていきたいね。

 

それでは、お元気で。

 

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記事が面白かったよって方は以下のショップでTシャツを販売しとりますのでご支援いただければ嬉しいです!全て藤井風さんの活動を応援するための取材費用や機材費用に使用します。

 

 

*1:MUSICA(ムジカ) 2022年5月号より

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