僕はレベル40

心が動いたことをかいていく

King Gnu(キングヌー)の『白日』を『イノセンス 冤罪弁護士』との関係から考察する

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自分の母親がキングヌーって読めるようになるくらい一般化するその日まで、仮名を振りつづけてやる。どーもJ太郎です。

 

リリースしたアルバムはチャート1位、NHKで特集され、Mステに出て、ワンマンは全公演即完。サマソニ含め大型フェスに出まくり、と間違いなく2018年No.1出世頭。もはやアルバムSympaはカバンに入れとけば、御利益で昇進しちゃうレベル。

 

そんな絶好調なヌーの皆さん初のドラマタイアップ曲、『白日』がリリース。

2018年アニメBanana Fishにおける『Prayer X』で新しいファンを獲得したように、今度はドラマイノセンス 冤罪弁護士のタイアップ曲として書き下ろされた曲ってのが今回の肝。当然普段King Gnuを聴かない層へのアプローチとしては効果は抜群だ。

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米津玄師がアンナチュラルにおける『Lemon』で音楽好き層を超えて一般層にも広がり、スターダムにのし上がったように、やはりメディアを超えたアプローチをすることで新しいファンを獲得できるってのは間違いない。

まぁ色々考えを巡らせたのでつらつらと書いていく。


 

正義と真実の狭間で

さて、皆さんイノセンス見てる?僕は見てます。

スーパーざっくり言うと、坂口健太郎が演じる若き弁護士、黒川 拓が冤罪を防ぐべく、事件の真実を説き明かしていくリーガルストーリー。

 

この『イノセンス 冤罪弁護士』と『白日』の密接さはあらためて歌詞を噛み締めながら聴いて見ればよくわかる。そしてドラマの作り手達が如何にこの曲を大事にしているのかはきっちり伝わってくる。俺にとってはむしろどう『白日』を流すかを見るドラマなので、ここは見ててとても嬉しいポイントだ。

 

まずこの 「白日」という単語は慣用句として「真実を白日の下に晒す」、といったように使われる。この慣用句は「真実を明らかにする」という意味で、弁護士なり検事が事件を明らかにするというこのドラマのテーマに即していると言える。そして、黒川弁護士の「ただ、真実を知りたい」という行動理念にもピッタリあてはまっている。つまり、この物語の主人公を正に主題歌として言い表しているのがこの『白日』という訳だ。

そしてタイトル「イノセンス」、意味は「無実」。俗に有罪はクロ、無罪はシロというようにこの「冤罪弁護士」の象徴としてのシロが証明される日=白日

そして歌詞、

真っ白に全てさよなら 降りしきる雪よ 全てを包み込んでくれ

という降りしきる雪の日=(色彩的な)白日

 

さらに、

真っ新に生まれ変わって 人生一から始めようが

 という歌詞は罪人がキレイな身になってやり直す日=白日とも取れる。

 

このように聴き手の想像力次第で二重・三重・四重構造を許しているってのが、この曲の素晴らしさ。常田氏・・・アンタ・・・

このドラマの主題歌『白日』以外有り得えねえよ!

 

じっくり歌詞を読み込むと、黒川弁護士視点とも取れる箇所もあれば、罪を犯した犯罪者視点とも取れる箇所もある。加えて、リスナーとしての「俺ら」視点でも共感できる普遍性をも、持ち合わせている。『Prayer X』の時もそうだったが、この懐の広さ、スケール感こそが、彼らの楽曲の大きな大きな魅力なのさ。

 

全てここまで一貫性を持って、ドラマに寄り添った曲になってる。King Gnuの全楽曲の作詞作曲を手がける常田大希という男、ほんと真面目な人なんやなってあらためて思う。製作者側の期待(テーマ)に応えるべく、ドラマにマッチした楽曲をすごく真剣に、丁寧に作った曲なんだろうなってのが随所で伝わってくる。ただドラマにマッチするだけじゃなく、自分達が大事にしているスタンスをブレさせずにKing Gnuの曲として完成させる。これは当たり前のようでいて中々できるもんではない、この奇跡のようなバランスが、『白日』にはある。

楽曲としての『白日』

ドラマとの関連性だけでクッソ長いが、もう少々曲について触れていきたい。

今回は全King Gnuファン待望のツインボーカル。まず出だしからMステでもしっかり爪痕を残した男、Vo. 井口全力。今回は出だしのブレス+息をたっぷり含ませたハーフボイス+エッジボイス+極上ファルセット+WONKアヤタケ氏のピアノという鼻血出血大サービスぶり。美しさここに極まれりっ。

そして、そっからDr. 勢喜のストップ感の効いたドラムがイン。この4拍ごとにフッと止まるとこ本当に渋い。そして全楽器隊がインし、常田ボーカルも加わる。もうこの展開だけでご飯25杯いけそうですね、ハイ。

今まで「強い言葉は俺が歌う」、とインタビューで語っていたVo/Gt常田が、なんと

どこかの街でまた出逢えたら僕の名前を覚えていますか?その頃にはきっと春風が吹くだろう

って歌ってるんですよ。これは事件ですよ!

声も低音が渋くてマジでカッケーしなぁ。 

 

からのサビ。

真っ新に生まれ変わって人生一から始めようがへばりついて離れない地続きの今を歩いているんだ

リズム隊

歌詞も歌も当然良いんだが、ここのリズム隊二人の絡みをしっかり聴いて欲しい。

King GnuがそこらのJ POPに収まらない理由がここにある。こちら彼らのラジオ、Radio Gnuで紹介されていたメンバーのリコメンド曲。

www.youtube.com

忘れちゃならないのは、メンバー(井口以外)は本質的にこんなドープなビートを好むタイプの人間だってこと。こんなにも美しい曲に潜んだブラックミュージックのフレイバーを感じてくれ。

今頃も、如何にヤバイビートとポップを混ぜ合わせるか考えてるはずだ。Mステから知った人々よ、騙されてはイカンぞ。この常田大希という男、その内絶対踏み絵みたいなチルでドープなアルバムとか作ってくるぞ。

 

 あと、井口ボーカル史上ダントツで難しい曲やなぁと。この乱高下する音程・・・ライブで再現出来んのか?そこはワンマンでじっくり確かめさせてもらおうと思う。

 

歌詞

歌詞については逆にパンチラインじゃないとこを探す方が難しい。

朝目覚めたらどっかの誰かになってやしないかな なれやしないよな聞き流してくれ

忙しない日常の中で歳だけを重ねたその向こう側に待ち受けるのは天国か地獄か

とか、

後悔ばかりの人生だ 取り返しのつかない過ちの一つや二つくらい誰にでもあるよな そんなんもんだろう うんざりするよ

真っ新に生まれ変わって人生一から始めようがへばりついて離れない地続きの今を歩いて行くんだ

とかもう刺さりすぎて心臓をナイフで抉られてると錯覚したレベル。

 

 

タイトルは白日だが、現実(リアル)ってのはどこまでもグレーの濃淡でしか表せないし、「真っ白も真っ黒もない日常」を逆説的に表現してて、そんな中でも歩いて行かなくてはね。という意志「白日」を追い求める切ない人間の様をが感じられる素晴らしい歌詞。

 

MV

MVについてはこれKing GnuのMV?って思うくらいに「普通に」かっこいい。白と黒を基調とした映像で、曲のイメージそのまんま作ってきたな!っていう印象。こう言っちゃなんだが、人に薦めやすいMVPrayer Xとか人に薦められないだろアレ。

普通っぽく見えるんだけど、高低差のある建物で、後ろから撮ったり上から撮ったりとカットと編集にすげー工夫が見られて、素直にイイ!!(・∀・)って思えるMVだ。

せきゆーと新井氏のバックショットが特に好き。あと、井口サンヒゲ剃って。

 

いかがだったろうか

ドラマの内容について一言だけ言っとくと、脚本に波があるところはマジで直してください。最新話も思わせぶりにヘイトを集めるキャラが出てきて、それが真犯人で家族の仇への復讐で金持ちの成金を殺して、その事件の解明とか・・・

もう2万回は使い古されてボロ雑巾になったようなネタなんだから、どっかでフレッシュさをくれよ!

事件を科学的に解決する推理に見所を置くのか、人間ドラマを際立たせたいのか、どっちつかずのパートが多いからどうしても足りてない感が出るんじゃないかね。

6話とか話のオチ方としても『白日』の入り方としてもすごく好きな回もあるだけに、実に惜しい。

坂口健太郎の演技は今回のイノセンスにハマってると思うし、脇を固めるベテラン演者もすごく良い。話の構成としては小事件を解決する内に主人公にとって最も重要な事件の真相に近づいていくという王道な展開なので、尻上がりに面白くなってはいくはずなので楽しみにしてる。

 

最高に沁みる『白日』を聴かせてくれよな、日テレ。

それではアデュー。

白日

白日

 

 

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