This is トーキョーカオティック!!
This is トーキョーニューミクスチャースタイル!!
こんなん待ってましたぁ!!と言わんばかりの攻めッ気たっぷりの両A面シングルが届いた。
前置き
King Gnu・・・今更良い所・好きな所を挙げ出すとキリ無いんだけど、ほんっとにすげーのはその楽曲の振れ幅よ。
『三文小説』みたいな涙腺刺激系バラード。『Teenager Forever』みたいな疾走パンク曲。『飛行艇』みたいなドかっけースタジアムロック。
それぞれ弾き方やリズムの取り方を変えてその楽曲の表情をつくっていく。
時には楽器すら持ち替える。エフェクターで音色変えたろとかいう程度ではない。
邦楽どころか世界を見渡してもここまで多様なサウンドがミックスされたバンドはそういない。マジでいない。いたら教えて欲しいレベル。
そんなジャンルレスな全部ひっくるめてトーキョーミクスチャースタイルだし、自身が掲げるカオティックトーキョーの体現者なんだと強く思う。看板は伊達じゃねぇってことやね。
そんなKing Gnuというバンドのロックモード全開で振り切ったのがこの『千両役者』。
千両役者
マジではぇぇ。
このBPM、この長さでこの言葉数。控えめに言って頭おかしい。
結果的にバンド史上一番歌詞が長い曲になってる。全体的に和な言葉を選んで使ってて、漢字がやたら多いのも特徴。タイトル含めどことなく椎名林檎姐さんフレーバー感じる。
但し、こんなに早口でも耳に残るフレーズを必ず入れてる。
カタストロフィ超えてけ業
ただ生きるための抗体を頂戴
あなたと相思相愛で居たい
このあたり特に。
当然、歌い方やメロディ・リズム引っ張られて印象的なのは間違いないんだが、 言葉としてのフレッシュさとか、単語と単語の組み合わせの妙でめっちゃ耳に残る。
韻もしっかり踏まれてるしな。
押韻という意味でもう少し語りたいのが、その韻を踏む部分ね。
オーソドックスなラップだと、小節のケツで踏む事が多い。例えば、
今日もテレビで言っちゃってる
悲慘な時代だって言っちゃってる
ボクらはいつも探してる
でっかい愛とか希望探してる
どーみても末尾で「てる(EU)」で踏んでるのはわかると思う。
これが小節のケツで踏むという事でラップもそうだし、J-POPにおいても、いにしえから最もポピュラーな手法でリズム的にもおさまりが良い。
対して千両役者。
「相思相愛で居たい」というフレーズ一つとっても"OU"とか"AI"で小節関係なく韻を踏む事により、上で書いた「おさまりの良さ」よりも、韻の連続による「語感的な気持ち良さ」を重視している事がわかる。
「のらりくらり」とか「御祭り土砂降り」とかもそう。そんなフレーズが随所にちりばめられているのがこの『千両役者』で曲に関しては歌詞的な意味より先に音的な歌詞が先にきてると思う。つまり言葉も含めて楽器的なアプローチをしてるのが今回の作詞法と思ってます。
大切なメッセージを一音一音に込めた『三文小説』と真逆のアプローチで、そういう意味でも対照的な2曲になってる。ジャケットの向かい合わせはバラードとロックっていう対比を超えた意味がある。
※NHKの常田大希特集を観た。
「抗体を頂戴」の意味、コロナに対する人類の叫び、願いだとは、、、思いついてなかったー!!
情勢を挟んでくるあたり、妙に納得してしまった。
千両役者と書いて情熱と読む
は?どういう事?と100人が100人とも思ったでしょう。正しいよ、それ。僕の妄想だし。
正確に言えば、この曲から僕が受け取ったメッセージが、「懸命にもがきながら情熱を燃やして生きる事の尊さ」って事なんですわ。
常田大希という男、一件クールに見えるし、鬼才とか言われてるし、ライブでもたまにしか喋らないしだけど、内に秘めた思いがとにかく熱い。熱すぎる。修造も目じゃないレベル。
これはいつも思ってる事なんだけど、King Gnuは井口ボーカルと常田ボーカルでメッセージを伝えるアプローチが異なる。もっと具体的には井口ボーカル曲はフィクション寄り。常田ボーカルはドキュメンタリー寄りってこと。
なにかの物語を媒介にして、愛を語る井口曲と、自分たちの考えをかなり直接的に言葉にして愛を吐きだしていくのが常田曲。そんな感想。
常田ボーカル曲の『Flash!!!』は曲もメッセージとしても親和性があって、
ホンモンかニセモンかなんてくだらねえぜ真実なんて
ただ下り坂を猛スピードで駆け抜けるんだ
密かに期待しちゃいないかい?思い通りにいきやしないぜ?
やるせないね それでも主役は誰だ?お前だろ
輝けるんだ、いつだって思いのままに
表題曲でも言葉を変えて同じ事を表現している。
「千両役者」として舞台に立ちオーディエンスを熱狂させるKing Gnuのスタンスとか美学を明確に示したこの曲。その「情熱」と「覚悟」をこの曲に感じるからこそ僕はこの曲に否応無しに上がってしまう。
好き勝手放題の商売 勝敗なんて興味は無いや
青臭い野暮臭い生涯を
曲中で最も重要なメッセージだと思う。彼らの美学をわかりやすく示した決意表明の演目に拍手。
King Gnu - 千両役者
— 常田大希 - Daiki Tsuneta (@DaikiTsuneta) December 1, 2020
MUSIC VIDEO公開しました
ㅤhttps://t.co/QxDZjS6z5m
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2020年, 誰もがこんな時代になるとは想像もしてなかっただろうけど, それでも腐らずに, 泥臭く愛を持って猛烈に生き抜くしか無いよな. そんな曲です.
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今年最後の大花火宜しく🧨 pic.twitter.com/FM6BcXLTso
いかがだったろうか
またクソかっけー曲がこの世に爆誕した。ライブでも爆上がりの名曲なので、今後ファンの間でも浸透していけば欠かせない一曲になるはずだ。
最後にあまり語れてなかったけど僕の好きなその他のポイントを羅列して記事を終わる。他のみんなが共感できるか謎だけどな!
・メンバー全員がグラサンなMV。かっけーすぎ。
・常田氏のベロアの赤セットアップ似合いすぎ問題。幕張でも着てた?
・MVでバンドの四人が「千両役者とクレジットされてる」ところ。超気が利いてる。
・紙ジャケットが素晴らしい。現物は文字がキラキラしてて素敵さが止まらない。
・歌詞カードも謎の高級あぶらとり紙的質感。字体も大正浪漫的なレトロさが良い。
・特典のAWツアーの日比谷講演が最強。おまけってレベルじゃねーぞ!
・演奏面で一番好きなのは1:20で一回リズム隊がブレイクしてからのドラムクレッシェンドからの超荒ぶったベースイン。ここでご飯3杯イケル。
それでは皆さんも好きなとことか色んな解釈あったら気軽に教えてくださいまし。
この辺でアディオス!