ハイこの曲を聴いてピンと来なかったら以下、一切読む価値はありやせん。
時間とスマホの電池がもったいないので、即ブラウザバックした方が良い。
・・・さて、めっちゃ好みのロックアルバムが出てきちまった。
イントロ、サビのハイトーン・疾走感があるのに物悲しいという絶妙なバランスに至るまで徹頭徹尾すべてが好み。
日本ではそこまで”Willow”というアーティストは知られてはいないが、「ウィル・スミスの娘」といえば「あぁ、なるほど」程度にはわかるだろう。
本名Willow Smith。映画俳優として、そしてラッパーとしてUSで知らない人はいない大スターの娘だ。
いくつか彼女の事を調べてみると「ウィル・スミスの娘」、そして「黒人女性がパンクを演奏する」という事が彼女にとってはかなり大きな呪いであったよう。
その呪いを吐き出すかのようにシャウトし、エネルギーの放出に胸を打たれたので書いていきたい。
黒人音楽とロック
ロックの発祥をビートルズやプレスリーと思っている人もいるかもしれないが、源流をたどれば実は黒人音楽であり、ブルースやソウルが根っこにある。
この話題を掘っていくと書籍出版レベルになるし、専門家では無いのでこれくらいにしておくが、ともかくロックミュージックは黒人音楽から派生し発展していったイチジャンルである。歴史上最も偉大なギタリストの一人、ジミ・ヘンドリックスもこの発展に大きく寄与している。
にも関わらず黒人ロック歌手というのは少ない。なぜか?
僕のゴスペルの先生によると、一つには曲の「リズム」が大いに関係しているらしい。
黒人がソウル・ファンク・R&Bを愛する理由が、それらの音楽がずっとリズムに合わせて踊って、揺れ続けても疲れない音楽であるという事が重要である。
パーティやライブ、あるいは教会で踊り続ける彼らにとって、パンクやメタル等の短距離走的な「白筋」を使う音楽は好まれないんだと。それよりも持久走的なリズムで「赤筋」を使うからソウルやファンクが好まれる。
それぞれのジャンルに合う声質というのは存在するので、そのあたりも重要な要素だと思うけどね。
かと言って黒人が全くグリーン・デイを聴かないのかというとそういう事はない。だが、ロックミュージシャンはとにかく少ない。
少ないながらも僕が好きな黒人がロックヴォーカリストを担うバンドを挙げると、
なんかがある。ケリー、サマソニでハイタッチしたなぁ。
本題に戻るがこの少ない人口の中でさらに黒人女性のロックヴォーカリストは全然いない。パンクとかメタルというジャンルにおいては存在すんの?ってレベル。
その壁をこのウィローは突き破ってきたって訳なんですよ!
いや、すごくね?
まだまだ2021年の時代においても音楽のジャンルと人種という問題は根深い。それゆえに彼女の、もっといえばアヴリル、マイケミ、パラモアが好きというだけで変人扱いされてしまう、彼女達黒人女性を縛る時代錯誤な呪いを「解き放つ」ような楽曲にすげー心動かされた。
スミス家
ウィル・スミス。黒人俳優として彼以上の大スターっているかね?
ハリウッドセレブの娘として、生まれながらにしてエンターテインメント界の頂点に立ったウィロー。ちなみに息子のジェイデン君も俳優&ラッパーとして活躍してる。ネトフリで観たGet Downの曲も演技もめっちゃ好きだった。
(注:センターの子ではありません、一際デカイアフロの子だよ)
僕には何不自由ないセレブの暮らしを想像もできないんで、こちらの記事から引っ張ってくると、自分の成功を主導しようとする親への反抗としてツアーを中段して断髪までしたそう。
めちゃ良い記事なので詳しく知りたい方はぜひ。
きっと彼女には彼女なりの地獄があったのだろう。
そんな自身の境遇を跳ね返す反骨精神が彼女なりの”Punk”であったんだろうし、R&B歌手からの転身という、これまたチャレンジングな試みを成功させるってのはマジで尊敬しかない。
アルバムについて
ジャケがまず好き。
で、一曲がめっちゃ短いのですぐ終わる。だから何回もループで聴ける。
断然オススメは冒頭貼った"transparentsoul feat. Travis Barker"。
直訳で「透明な魂」という意味のタイトル。彼女のため込んだ思いを吐き出すかのような歌詞に胸打たれるし、フィーチャリングで迎えているブリンクのトラヴィスドラムが耳を奪いすぎる。何この圧と手数・・・前に出過ぎだろ。かつて見たこちらのソロを見てもらえればその実力は一目、いや一聴瞭然。あんた「鬼」やで・・・
この曲の迫力は間違い無くドラム、そしてウィローの叫びが作り出していると思う。
他の曲だと、同じくトラヴィス・バーカーをフィーチャリングした3、グランジの雰囲気、そしてラスサビの上ハモが最高に気持ちいい5、一見ロック歌手には絶対に見えないけど、その凝り固まった先入観を吹っ飛ばすパフォーマンスの6、トラップと轟音ギターが融合した9、アヴリル・ラヴィーンをフィーチャーした10あたりが好き。
アヴリルとか完全にド直球世代過ぎて泣ける。曲の雰囲気は”Sk8er Boi”っぽい。
トータル30分未満のアルバムってのも、いかにもパンクっぽいね。ある意味ストリーミング戦略にもマッチしてるのかも。
最後に彼女の楽曲"GROW"の歌詞を貼って記事を〆たい。
Cause no one ever truly knows just who they are
And I feel closer knowing I don't have to hide my scars誰もが本当の自分を知ることはできない
だからこそ自分の傷跡を隠さなくてもいいんだと思える
まだまだ成長途中の彼女が、真の自分に出会う道の途中で作った傑作。
いかがだったろうか
一番パンク聴いてた頃の思い出が爆発して思ったより長くなった。なんて言うか、初めてバスケット・ケースを聴いた時のキラッキラした感動が勝手に蘇ってきてグッときた。で、やたらとポップパンク聴きたくなった。トラヴィスのドラム聴いたからかな?
グリーン・デイ、ブリンク、サム、オフスプ、シンプルプラン、グッドシャーロット、イエローカード・・・久しぶりにガッツリとパワーコード聴いて元気だしたい。
実は世界的にもロック人気が復活してきてる。マシンガン・ケリーやマネスキンなんかの若い勢力もかなりアツイ。
今回書いたウィロー含め、一周廻って洋ロックを聴き漁ろうかな。
それではこの辺でアディオス。