9月29日(金)、ビルボードジャパンのウェブサイトに超濃厚なインタビュー記事『藤井 風に導きを与えた“第三のデビュー曲”「Workin' Hard」ができるまで』が投稿された。
金曜の夜も更けた時間にも関わらずアクセス集中で記事が全く読めず、完全に記事を読むことができたのは日付を跨いだ深夜であった。みんなの喰いつきっぷりがやば。である。
今回この特濃インタビューにて、藤井風哲学のエッセンスに触れることができたので、自分的に特に重要だと思った点について書いていこうと思う。
ちょっとあれこれ語りたい気分だったのでツラツラ書いてるが、読んでもらえるとありがたし。
ポッドキャストの音声はコチラ(文章よりまろやかな喋りだと好評だよ):
藤井風の哲学と一貫性
僕は捨て曲、という言葉が嫌いです。
「あのアルバム曲の●●と〇〇は捨て曲だ」、とか言われるけどアーティストが大切に収録した楽曲に捨て曲なんてあるんかなと、いつも疑問に思っている。
仮にアルバムの隙間を埋めるような捨て曲というものがあったとして、藤井風の楽曲には一曲だって捨て曲が存在しない。
「無駄な曲は一曲も作りたくない」と本人も公言しているように、どの楽曲にも置かれている意味があり、それ自体にストーリーと一貫したメッセージを内包している。
この記事で言う藤井風の哲学とは、彼が繰り返し発信している「理想の自分=Higher Selfに出会う」ということ。
この哲学を精一杯僕なりに解釈すると、「全てを愛し全てに奉仕する」という人の営みの螺旋階段を上っていく先できっと理想の自分に出会えるよ、ってことなんですよね。あえて小学生でもわかる言葉で言い換えると「なりたい自分を目指して学び続けよう」とか「人にも、自分にもめっちゃ優しくして生きてこうぜ」とかそんな感じかな。
この一貫したメッセージを込めて紡がれた愛の言葉を、あの至高の音楽に載せて届けられる…それが藤井風の楽曲、そりゃ抵抗不能だわな。
藤井風の強固な意志と諸刃の剣
もう、結論です。大事な事から言おうじゃないか。
今回のインタビューで前々から自分が思っていたことを本人が口に出してくれたなぁと強く感じたのがこの部分。
新しいことをすることが好きで。でも、自分が歌にするべきだと思っているメッセージが変わるわけでもないし、それはほぼ一つしかない。その核みたいなものが揺るぎようもないものだからこそ、次はどういうアプローチでそれを発表できる余地があるのか、他に方法があるのかどうか、自分では全然わからなくなっていたところでした。
ここです。以上です!!この話終了です!!!
と言いたいんだが、僕が蛇足覚悟で補助線を引きたい。
ここでいう自分が歌にするべきだと思っているメッセージというのは前述の自身の核である哲学のことだ。
初めて『何なんw』を聴いた時に感じた、「ん?これどういう意味?シチュエーション?何なん?」という疑問符が自分事としてハラ落ちした時の感動は今でも覚えてる。This is true アハ体験!!
色恋沙汰とか離郷の哀愁といった絹のベールの下に隠された全ての楽曲の根底を流れるその核心に触れた時、この人の音楽一生聴いてこうと心から思ったよね。
ただしこれは諸刃の剣でもある、とは思っている。
インタビューにもあるように核があまりにも強固なだけに、基本的には帰着点が決まっているということだ。
歌いたいことは変わらない。だけど、同じことを繰り返したくもない、という自己矛盾の中でもがき、汗をかいて、めっちゃ頑張ってる風さんの産みの苦しみたるや。もうね、涙でちゃいますよ。
とても合点がいったのは、伝えたいメッセージが同じだからこそ、曲調やリズムに振れ幅があるのだな、ということ。
だってさ、『旅路』の次に『きらり』リリースすると思わないじゃないですか。真逆ですよ真逆。もたった人力ドラム曲の次が四つ打ちの打ち込みビートってほんま度肝を抜かれましたよ僕は。
そんな楽曲の振れ幅は、幼少の頃から音楽に親しみ、数多くのアーティスト達をカバーしてきた経験が糧となって今の藤井風の横断的な音楽があるのは間違い無いってのもまた胸アツポイント。
しかし、その引き出しをもってしてもアイデアが枯渇してしまった。スタックしてしまったというのが最近であると。自身が卒業ソングと語る『grace』から随分と間が空いてしまったのはそんな理由があったのね。
だからこそ、タイアップというのはきっかけ・取っ掛かりとして有効に機能するってこと。人って制限されることで、逆にクリエイティブになれることがある。あれです、今日のご飯何がいい?って聞いて「何でもいいよ」って返されるとムカつきますよね。魚料理食べたいって言われた方が作りやすいですよね?そういうことです(ちがう
今回は「バスケットボール」という切り口が有効に作用したことで産まれたのがこの第三のデビュー曲、『Workin’ Hard』。
今までと違ったことをイチから始めるようなエネルギーで、ぜひやってみたいと思えたんです。
充電した藤井風は強いね。この勢いに乗って、でも休みながら進みつづけて欲しい。僕はその風にどこまでも乗っていくので。
いかがだったろうか
すっごい具体的になるけど、自分的に風さんの楽曲で聴いてみたいアプローチは架空のストーリーものなんですよね。例えば動植物を主役にしたストーリーテリングのような。メタファーとしての『ガーデン』における花や『青春病』における獣にフォーカスしたお話にする、その上でメッセージには自身の意志を込めるみたいな手法もあったりする。
実例としてBUMP OF CHIKENの楽曲、『K』とか『ダンデライオン』に代表されるようなと言ったらピンとくる人もいるかもしれんけど、なんか面白い化学反応起きそうでワクワクする。きっと無数のアプローチがあると思うので、この記事を読んだみなさんの妄想アプローチを聞かせてくださると喜びます!
最後に、インタビュワーの柴 那典さん、そしてもちろん応対した風さん、素晴らしい記事をありがとうございました^o^
今週土曜日(2023/10/7)の21:30から、原点のカバー動画を一緒に観て楽しむYOUTUBE配信を行うんだけど、今日の記事のような話とかミステリアスな新曲!?についての話もしようかな。ぜひお越しくださいまし♪
それでは、お元気で。