結論から言う。
生で観た藤井風は真の表現者でありアーティストだった。
何を今更と思う人もいるかもしれないけど、歌で、楽器で、ダンスで、言葉で、表情一つで感情を表現し心を揺さぶり、魅了する。その全てのアウトプットがアーティシズムの塊だった。
まぁあれこれ前置きするのも何だし、とにかくFujii Kaze "HELP EVER ARENA TOUR"@神戸ワールド記念ホールを最高に楽しんできたのでライブレポート書いていく。
ライブまで
今年の1月、なんとか開催された神戸でのライブから早くも10ヶ月の月日が経過。あれから藤井風がどんだけ進化しているのかを、あの珠玉の楽曲達をどう聴かせてくれるのか楽しみでしょうがなかった。
当日は予定を一切入れずに完全にFreeな状態にして会場、神戸ワールド記念ホールに向かう。物販を買うために2時間近く前に会場入りしたけど既に長蛇の列。しかも大雨。
これは試練なのか?キチぃぜ・・・と一瞬頭をよぎったんだけど、"Free"のライブ以降、雨が降ってもそこまで苦じゃなくなった。カッコつけて言うなら雨じゃないと見れない景色があるってことを実際に体現してくれたのがいまだに心に刺さってる。
そんな訳で耐えること3時間、ようやく物販にたどり着いてノリで色々と買い漁る。
前回の神戸と比にならないレベルでとにかく人が沢山いた。人気上昇を感じた。体感、男:女=8:2くらいに感じたが相変わらずファン層が老若男女すぎてビビる。下は小学生くらいの子も見かけたし、上は70代くらいの夫婦らしきペアもお見かけした。日本揺さぶり過ぎだろ風!!
さらに待つこと2時間、ようやく会場に入れてフォトブースにてパシャリ。
会場の熱気も高まったところで遂に遂に遂に、舞台の幕が上がる。
セットリスト
Opening
1.風よ
2.調子のっちゃって
3.優しさ
4.きらり
5.キリがないから
6.へでもねーよ
7.罪の香り
8.もうええわ
9.死ぬのがいいわ
10.特にない
11.帰ろう
12.青春病
STAY TUNE/Suchmos
13.何なんw
14.燃えよ
15.さよならべいべ
16.旅路
Closing
全曲感想
こっからは覚えている範囲で色々書いていく。モノレールと阪急電車で作りまくったメモと焼き付けた記憶だけが頼りなので、間違ってたらごめん。
OP
前回と同じく"Good As Hell"の風カヴァーからスタート。これこれコレェェェ!と、もはやオープニングはこれを聞かねばならぬ気すらしてくる。
会場の手拍子で場内もヒートアップ。
Good As Hell pic.twitter.com/LQqp9hn96C
— 藤井 風 (@FujiiKaze) May 8, 2020
1.風よ
イントロが流れた瞬間にあれ?何これ?デジャヴ?タイムリープしたの僕?と思った。
そう、昨年の公演の流れと全く同じだったからだ。
あー、Lizzoからの『風よ』はもはやモーニングルーティン的なアレなのね。と10秒くらいで脳がグルグルした瞬間、大間違いだった事に気づく。
・・・なんとサックスを吹きながらの御登場。
真に驚いた時に人はどうなるのか?そう、一瞬真っ白になった後笑うのである。
ほんとフフって笑ってましたもん、流川と違って相当キモかったですもん。
しかもボーカル無し、フル尺演奏。もう場内はムード歌謡のディナーショー状態。は?僕ガーデンパレス来たの?
ずっずさん、「藤井風・昭和歌謡ディナーショー」やれば革命起きますよ(錯乱
いっつも楽しみにしているこの曲の大フェイクまでまさかの金管。音の階段が綺麗過ぎた。
インパクトという意味でこの衝撃を超える演出は無かったくらいびっくり。
いやね、風サックス見たかったけどこれは反則。
2.調子のっちゃって
からの『調子のっちゃって』。
やはり『風よ』からの流れが良過ぎて、1セットになるのも納得。後述するが、曲から曲への移行というのはめちゃめちゃセンスいる。なんならその日の雰囲気づくりに大きく関わる。
テンポや音色を合わせる事でスムーズに移行する事で違和感なく、グルーヴを保つのか。あるいはあえてブツ切りにする事でインパクトを与えるのか。ここにテーマや歌詞なんかも考慮し出すと非常に奥が深い話になってくる。
ちょっと残念だったのが、イントロでドン!!と出ていたツアーロゴは出ず。
全体的に光の演出は去年の前回の方が感動したかな。レーザーは多めなんやけど細やかな演出は圧倒的に前回が上。これも大箱の限界か・・・
3.優しさ
相変わらず曲の完成度がダンチ。そして毎回好きなポイントが変わる。今回はリズム隊とのアンサンブルが最高に良かった。ピアノ・ベース・ドラムが3種の神器すぎる。大サビ前の風慟哭でエモくなった後畳みかける演奏の激しさに今回も「殺られた」。
タイトル『優しさ』なのに全然激情なんすよね、この曲。こんな矛盾が風曲のおもしろさ。
【MC1】
「よう来てくださいました」から始まったMC。今回の神戸は一味も二味も違うとのことで、初めての平日公演を強調。「アナタ平日て!」というツッコミをいただきつつ、「平日の土砂振りの中ようこそ」とファンを初手から労う藤井風。ほらな、雨良いことあったやろ。
岡山の隣の県、兵庫への「実質帰省」MCからのキャパが他のアリーナ会場に比べ狭い事で"intimate(親密な)"を連発する。別に面白い事を言っていないのに会場は謎の笑いに包まれる。チャーミングがとどまることを知らない。
そして拍子抜けしちゃうくらいの「きらり」タイトルコールで、自身最大のヒット曲をパフォーマンスすることになるのだが、僕にある異変が起きていた・・・
4.きらり
はい、白状します。
あの1万人を超えるオーディエンスの中で多分唯一人、僕号泣してました。
照明はきらっきらで、バッチバチに踊る風&ダンサーズの激しい演出にも関わらずマジで涙止まらなかった。特にラスト大サビ。
説明不能。奇妙奇天烈摩訶不思議。奇想天外四捨五入状態。
無理やり説明するのならば、注目度も上がり、デカイホールを満員にし、ハッピーすぎる空間を作ってるっていう事実、そしてそのための不断の努力と準備をしてきた藤井風の積み上げたものとか色々にこみ上げてしまったんだと思う。
どこにいたの 探してたよ
連れてって 連れてって
今までこの歌詞にそこまで注目してなかったんだけど、すごく不思議な歌詞だ。
誰目線?と思ってたけど完全にライブ中の僕でした。一番刺さった。
しっかし、『帰ろう』ならともかく『きらり』で泣くとはね・・・人の感情とはとかく意味不明なもんだね。
やっぱこの曲は弾き語りよりデカい音でビートと合わせて聴いて踊るのが大正解と再確認。
5.キリがないから
号泣の余韻で、全っ然頭に入ってこない。完全に放心タイム。
アァ、マタロボットデテキマシタワァ、くらいしか感想が無いすまん。
6.へでもねーよ
『きらり』、『キリない』、そして『へでもねーよ』の打ち込み3連星。
なんとイントロのサンプリング部分が尺八?での生演奏に!!冒頭のサックス演奏に次ぐ衝撃。スーパー雅楽モード突入。
ここでやっと放心状態から覚醒。からのいつもの攻撃的ビート!会場もっと縦ノリで揺れてくれと思いながら一人プチョハンズインジエアー。
関係無いけど篳篥(ひちりき)とか吹いたら超似合いそう。烏帽子で雅楽に興じて欲しい。
【MC2】
先程のMCで言った「キャパ」の意味がわかったか気にしてわざわざ補足してくれる風氏。「キャパ言うてもうたけど意味わかるんじゃろうか」と思いながら3曲も歌って踊ってんのか!?と思いつつ優しさがとどまることを知らない。
7.罪の香り
個人的にこの曲がバンドアンサンブル的にも、色気あるパフォーマンス的にも重要な位置にあると思ってる。つまりライブの中盤の大黒柱。
しかし改めて「エゴはやかましいのよ」ってすげー歌詞やな。
何か知らんけどもこのフレーズが曲終わっても離れない程こびりついた。
「おっと 罪の香り」とか「逆らい難い嫌な匂い」等と同列で常人では絶対に出てこないフレーズ。だってあなた歌作ろうと思って入れます?「エゴはやかましいのよ」て。
この曲全体だけど、アーティストとしか言えない天才のそれ。何度噛んでも味が復活する謎のスルメ。
8.もうええわ
この浮遊感を感じたかった。藤井風の歌詞世界の真髄とも言うべき「手放す」という概念。印象的なメロディーのリフレイン。あらためて体に入ってきた。
悲しい時、怒りたい時に何度となく僕は救われてる。それくらい自分にとって革新的だった。
ちなみにこの日全体的にファルセットがかすれてた。ちょっと忙しすぎじゃないかしら?ミックスボイスと地声のあたりは問題無かったけど普通に心配するレベルで苦しそうだった。ファンは応援するしかないけど無理はしないで欲すぃ。
9.死ぬのがいいわ
この日の演出の白眉。曲の繋ぎが最高過ぎた。
前回は風ピアノソロからの速弾きだった繋ぎがもうええわのアウトロのキーボード演奏アレンジとスネア連打からの『死ぬのがいいわ』イントロ。まずここでご飯三杯いけた。
そして相変わらず低音の響きが良い。この曲で聴きながらちょっと気づいたのが藤井風の歌唱はビブラートをほぼ使わない。ブラックミュージックを土台にした歌手、例えば久保田利伸とか清水翔太とかビブラートで曲に揺らぎや広がりを加えたりするんだけど、藤井風はそこを音階の移動(メリスマ)によって表現してる気がしてる。次オールナイトニッポンとかで質問できる機会があったら尋ねてみたい。
10.特にない
「ヒーリングセラピー 風」のはじまりはじまり。
定番となった指パッチン、手拍子コーナー。ピアノに乗せて日頃の嫌な事、溜まったストレスを手放すための「暗示をかけること」で幸せになる事を説く風さん。この瞬間壺を売られてたら買ってるレベルでセラピーされた。結局全ては捉え方次第な訳で、「足らん」と思うより「有り余ってる」と感じられる方が良いのはホントそうだと思う。
「満たされてる」と思いこむ事の大切さと危うさも少し感じた。
11.帰ろう
あかん。『特にない』からの『帰ろう』はあかーん。
会場から何かシュワシュワと溶ける音が聞こえるレベルで浄化が限界突破。あまりにもホーリー、そしてエンジェル。
いつかオーケストラを率いたツアーとかも実現したら良いな。よりドラマティックで琴線に触れる演出になりそう。
ああ全て与えて帰ろう
ああ何も持たずに帰ろう
人生という「帰り道」で僕らは何をすべきか、どう生きるべきなのか。
普段目を背けてしまいそうな大切なテーマを丁寧に歌って、届けてくれる。そんなアーティストが他にもいたら教えて欲しいレベル。
12.青春病
しかし変な曲だと思うよ。メロの変化が多彩すぎて演る側だと頭おかしくなりそう。
このライブには10代もちらほら見かけたけど、「青春は時に無常で残酷、だからこそ尊い」というメッセージが伝わってれば良いなと心から思う。
そんなメッセージを音楽にのせて届けようってんだから藤井風ファンはやめられない。
風ダンスとTAIKINGのアウトロギターも味わえて満たされた。
STAY TUNE/Suchmos
別の文脈でこみ上げるものがあった。そう、他でもないSuchmosのスーさんの件だ。
オリジナル曲も増えてきたしカヴァーパートは無いかな~と思っていたらバンドメンバー紹介からの"STAY TUNE"だった。
超超超アガッた。
藤井風&TAIKINGによる一種の弔いだと受け取ったが、あのカッティングは間違いなく僕が何度となく聴いてきた本物だった。正直もう二度と拝めないと思ってたので色々と込み上げた。
13.何なんw
からの盛り上げ番長。完全に感情がジェットコースター。
自分も音楽を演る身からすると、歌が上手いとかMCが云々とかよりも、何を見せたい(魅せたい)か、どういうメッセージを伝えたいか、そしてそれを体現するには?というステージングこそ一番大切なんですよ。この日もステージを縦横無尽に会場を広く使いながら歌いつつ、最後はピアノの激奏。完全にアウトロが本編。キース・ジャレットが憑依してた。キースまだ生きてるけど。
この日一番の拍手だった気がした。
14.燃えよ
ライブ的には、ここがクライマックス。
打ち込みと生演奏がミックスされた燃えるように熱い演奏が場内をたぎらす。しかし、この曲はパーカッション欲しすぎた。
あぁマジで何も怖くない
この風のって進め先へ
心の中でだが、特にガチで熱唱してた。一番してた。そう思わせるだけの説得力あるパフォーマンスだった。チーム風でカラオケしたらこの部分超盛り上がりそう。
早くライブで歌ったりコールアンドレスポンスできる時代が来て欲しいです、心から。
15.さよならべいべ
これはズルイ。ほんとズルイ。相変わらず曲の歌詞が終演を意識させやがる。
「ワシかてずっと一緒におりたかったわ」とか「もう行く時間か 最後までカッコ悪いワシじゃったな」とか、この曲は本人の思いが入りすぎてるので、その分僕らのハートにダイレクトアタックしすぎる。
本人は意図的にライブ終盤曲として作ったわけではないだろうけど、ピッタリと本人とファンの心情にピースがハマるエモ曲。
16.旅路
MCにて「サキソフォンの藤井風と申します」という小ボケをカマしつつライブはオーラスへ。「良い事悪い事も色々あるけどナチュラルな心でいられたら」というメッセージを届けるために、最後の曲へ。前回ライブでは弾き語り演出だったこの曲をぜひともバンド演奏で聴きたかった。くぐもったあのイントロエフェクト。サジさん、そしてTAIKINGナイスすぎる。
きっとこの神戸でのライブも大阪も福岡も、そして横浜も東京も全て一つなぎの旅だと捉えてることからのラスト、『旅路』。なんなら生きている限り旅路は続いていくよ、というようにも思えた。
旅路よろしく風の旅は続いてゆく。
Closing
最後の最後でハプニング発生!
オープニングでかかった"Good As Hell"がエンディングでもかかる。実はこれミスだったらしいんだけど、そんなの知らないので一人、「Lizzo好きすぎだろマジで」と突っ込む。
ここで何事もなかったかのようにエンディングを迎えちゃう事もできたにも関わらず「予定と違って訳わかっとらんのですけどmore・・・」と正直な人となりが出ちゃう。
どうしようもないのでサビのひと回し歌うおまけで得した気持ちになり、予想外のアンコールが貰えてしまったところで終幕。
Live is Happening!!!
いかがだったろうか
語るべき場所が多すぎて相変わらず長くなった。
紅白もきっとオファーはきてるだろうし今後、小さくても横アリ、5大ドームや日産スタジアムでの有観客リベンジも視野に入ってくるであろう藤井風。肉眼では見えなくなってしまうかもしれないけど、それでも行ける限り行こうと強く感じた神戸の夜だった。
こんなクソ長い文章読んでるのにまだ行ってない意味不明なアナタ、まずは配信ライブをチェックするよろし。
それではこの辺でアデュー。
久しぶりのツアーでしたin神戸!
— 藤井 風 (@FujiiKaze) November 11, 2021
ふるさと感すごい!
みんなのパワーに、愛に、たくさん助けてもらいました💪
ありがとう🥺!!!
今日はツアー神戸、2日目でした
— 藤井 風 (@FujiiKaze) November 12, 2021
寒かったのにみんなのエネルギーで激アツでした。🔥
神戸ありがとう🔥またね pic.twitter.com/ftIspWL8B3