僕はレベル40

心が動いたことをかいていく

「理想の自分」に出会うために生きる愛と誓いの歌、『死ぬのがいいわ』の紅白歌合戦でのパフォーマンスについて

NHK YOUTUBEサムネイルより

本当に愛することから生まれてくる"音"というのは

必ず人の心に響くものがあると思うんだよ

第73回NHK紅白歌合戦 加山雄三さんの言葉より 

昨年でコンサート活動にケジメをつけた永遠の若大将こと加山雄三御大の言葉が胸に刺さってしょうがない。長い長い路の最後の紅白の舞台は心どころか体中が震える程に感動した。

そしてその言葉の持つ重みをそのまま引き継いだかのような鬼気迫るパフォーマンスを魅せた藤井風というアーティストの『死ぬのがいいわ』について今日は書いていきたい。

NHK MUSIC SPECIAL 藤井 風 いざ、世界へ

この紅白には前段があった。12月28日、つまり紅白の直前に全力特集された「NHK MUSIC SPECIAL 藤井 風 いざ、世界へ」だ。

流れとしては事前に予想した通り、『死ぬのがいいわ』の世界的大ヒット、"home town of my soul"ことインド来訪と『grace』で解き放たれた風、そしてパナスタでの自身最大規模のライブのバックヤードという順序でもうこれしかないよなという丁寧な流れであった。ちょっと死ぬのがいいわ使いすぎでくどいやとは思ったが。

流石に紅白本番三日前の放送ともなると何かしらフリがあるのかと予想していたが、実際には直接的な関連性は薄かったように思う。

紅白を視聴し終わった今、答え合わせ的に言えば、むしろ今の藤井風というアーティストが立つ現在地を正確に指し示し、視聴者に理解を促しておくということこそが番組の趣旨であったように思う。『死ぬのがいいわ』という強すぎるタイトルが紅白の曲目の中で悪目立ちしないように打っておいたジャブの意味はあったのかもしれないね。ってかそもそも、世界で過去に例を見ない大ヒットを生み出す前途有望なアーティストはそりゃあ特集するよねって話で。

今後の藤井風の大事なキーワードになるであろう「ピュアネス」に触れられた事が個人的一番の収穫でした。

第73回NHK紅白歌合戦

で、本番。

まず自分の結論的感想から言っておくと、若手とベテランのバランスがめちゃめちゃ良くて最高に楽しい年越しを迎えることができた。音楽の多様化により、所謂「今年の曲」が出づらくなった状況を鑑み、オールタイムベスト的に改めて聴きたい曲と近年バズった楽曲を交互に繰り出していくようなスタイルなんだろうなと思った。そうせざるを得ないという面もあるんだろうが、近年のバズ曲で楽しんだ後は往年の名曲で感慨にふけるみたいな楽しみ方ができた。世代が離れば離れるほどにビートパターンや言葉のハメ方が違いすぎて邦楽史をザーーーっとさらっていける紅白は興味深いなぁと感じた。特に後半からは目も耳を離すことができないほどに素晴らしいパフォーマンスのオンパレード。

個人的に気になった若手陣としては今回のベストアクトとも名高いばう君ことVaundy口からCD音源。いや、ストリーム音源ってのが正確なのか?Aimer・milet、いくらちゃんという現代の3女神すら超える声の響き聴かせていただいたし、一番会場をブチ上げていた。そしてもはや日本随一の名曲生産者と化したOfficial髭男dismもドラマ「silent」の感動の雪の結晶演出が蘇るほどの熱唱も凄かった。このクッソ難しい『subtitle』をこれだけ完璧に歌えるのはきっと聡さんだけでしょうね。仕上がってた。

ベテラン陣営のパフォーマンスは全員に「くらい過ぎてしまって」もはや挙げられないほど。あえて、あえて挙げるとすればやはり加山雄三船長の航海した『海 その愛』でしょうか。歌は心を体現するその全身全霊をかけた歌唱に号泣してしまった。いや知っていましたよ、凄い人だなんてことは。しかしここまで全てを包み込まれるとは思わなかったじゃないですか。「そろそろ風さんやー♪」くらいの気持ちでいた自分を撃ち抜いていかれました。完全に大トリの風格。紅白これで最後締めていたら会場全員号泣してたんでは?

死ぬのがいいわ

そんなこんなで自分的には既に感動の臨界点に既に達している中での風。これは予想外だった。しかしそんな状態から藤井風に目も耳も離せないどころか全ての感覚を持っていかれる程、妖しく、艶やかで、芸術的で、鬼気迫るパフォーマンスを目の当たりにした。もうだめです。圧倒的オーラの泉。そしてもはやR指定がかかるんではというレベルで色気を醸し出す紅風様。いやー鼻血でウチに泉ができるところでした。

まずはどう出てくるのか、正に固唾を呑んで見守る。昨年は実家のワープ演出からのホールでのピアノ弾き語りパフォーマンスだったし、まぁ同じ手法は使わんだろなあ、いやいや裏の裏は表ということも・・・みたいに早口でブツブツ呟いているとNHK MUSIC SPECIALの映像が流れる。グランドピアノも会場にセッティングされており、特に波乱無く流れのまま曲にいく。

そこには何者かが憑依した真紅の藤井風。紅と白の法衣スタイルだが、実際にはライトアップで紅く染まり上がる。そして何やら小芝居的に顔を手で覆いながらクラシカルな超絶技巧からスタート。え?手が勝手に!?ってか出るチャンネル間違えた?とか色々想像できておもろい。

それにしても表情よ。完全に何か憑いてる顔。こんな表情できるやつ日本におるぅ!?と逆にニヤニヤしてしまう。

からのいつものイントロにシームレスに移行してゆく。ライブにおいては定番にもなっている流れではあるが、紅白で見られるとは!!一瞬のような永遠のようなイントロに乗せ、ついに第一声を放つ。言葉にはならない声、しかし確かにそこには藤井風の魂が、全身全霊が乗せられている第一声であった。軽やかで、澄み渡るようでいて深海にいるように深い声。それを聴くなり「あぁ、風だ・・・これだよこれ」という何の捻りもない感想を持ってしまう僕。だって本当にそれしか思わなかったんだよ!

そしてバンドメンバーが登場。ってかまたまたYaffleさんおるぅ。

風氏はピアノから立ち上がりキレッキレの動きで例の映像をバックに全身で『死ぬのがいいわ』を表現する。紅白のパフォーマンスはこの曲の真意を、世界観を伝える点を死ぬほど追求して演出されていたように思う。

特番でも本人が触れていたように、作者的には色恋の歌ではなく、「理想の自分≒ハイヤーセルフ」と出会うために生きる愛と誓いこそがこの楽曲のテーマである。

この深淵で理解し難い真意を、歌とピアノ以外に「演出」でも示そうとしたその矜持に感動した。それを藤井風を知らないお茶の間にも届く紅白の舞台で、だ。

燃えるような激情を表す「紅」、狂気的なまでのサイコスマイル笑顔や一点を凝視する「表情」やハンドサイン、屈伸や突然の倒れ込みなどの「動き」。その一挙手一投足一演出全てがテーマに結びついていた。これをアーティストと言わずなんと言うのよと。

歌唱後、倒れ込み「あんたとこのままオサラバ」するくらいなら死を選ぶ程の決意を体現した風さんに、その信念にまたもまたも「殺られて」しまった。

紅白を通しで見渡しても「この日最もアーティストであったのは藤井風と確信できる」、そんなパフォーマンスだった。最高だった。正直一度目は真意なんて理解できなくて、何も触れない司会陣に「えぇ・・・」と思ったが、何度も繰り返し見ているとその凄みに触れられなかったのかな、とも今は思っている。冒頭引用した「音楽への心からの愛が込められたパフォーマンス」だったからこそ、ここまで心に響いたのかと妙に納得してる感じ。

※後日追記分

ポッドキャストを聴いていただいた方に教えていただいた。

何と映像はおそらくこのパフォーマンスのために再度収録されていたよう。確かに見返すと変わっとる!!そして最後手の中に収まっている。絵的にも美しいし何らかの意味を感じさせる演出。これもさっきからずっと述べている総合芸術の一つなんすねぇぇ、凄い。

改めて、ここまで研鑽を積まれた風さんとそれを支えたチーム風&NHK演出陣ら関わった全てのみなさま、素晴らしい年越しを過ごさせていただきありがとうございました。

 

Podcastもやってます

文字で書くと冗長になりすぎるので泣く泣くカットした部分など、語り足りないことを音声でも喋ってます。聴いて!!

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いかがだったろうか

あ、新年あけましておめでとうございます。

今年も楽しく色々と風さんを追っかけて応援して行こうと思うとります。

素敵な年になりますように。

 

今年もどうぞよろしくお願いします。

 

それでは、お元気で。

 

死ぬのがいいわ

死ぬのがいいわ

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