僕はレベル40

心が動いたことをかいていく

SNS時代に一番大切なアーティストの姿勢って何なん? 【藤井風自由研究vol. 1】

はるか昔、アーティストはテレビの中の存在であった。

Mステ、HEY×3、うたばん、CDTV、ポップジャム。

今ではずいぶんとその数を減らした音楽番組だが、こう並べてみるとテレビ欄の端から端までくまなくチェックしていた時もあったなぁと懐かしい気持ちになる。たまにバラエティ番組に好きなアーティストが出演した時の特別感とか、覚えてる?

基本的に、ファンは煌びやかなメディア世界の外側からアーティストを見て聞いて、情報を一方的に取りに行くしかなかった。ある種アーティストは神秘的で近寄りがたい、憧れの存在であったように記憶している。

時は流れ2023年現在、若手は勿論大御所アーティストすらもSNSを使いこなし、メディアを介さずに直接ファンにメッセージを届けられる時代になった。場合によってはファンと相互にやり取りすることもある。ゲーム配信してコメントまで拾うアーティストがいたりするしね。

こうした、特定のメディアを介す要素が無いことで、タイムラグも無くなんらかの編集が入らない生のメッセージを届けられる環境になったと言える。総じて「ファンとの距離が近くなった」とはアーティストの世界の内側に入った側面が強いのかなと思う。

丁度自分は、テレビが時代の中心だった頃を知りつつもSNSの流行によってアーティストとファンの距離感の変遷を間近で感じてきた世代でもある。

世界の外側から内側へ

だからか、沢山のアーティストが「天界から地上に降りてきた」感がとても強い。

今の10代にとってはアーティスト本人にリプを送るなんて当然のことなんだろうが、自分にとっては今でも「あっし、ほ、ほんまに送ってええんですかい!?(ガクブル)」という気後れが凄い

そんな人間がいつつも、SNSがこれだけ主流となった今、「アーティストとの身近さ」を求められる度合いはほんの10年前よりも圧倒的に増しているように思う。ファンクラブの会報ぐらいでしか伝える手段が無かった時代とは違うし、このニーズへの応え方でファン層を拡大することもあれば、対応一つ間違えると致命的な打撃ともなり得る

SNS時代にファンが求めるもの

そんなSNS上で対話すら可能になった時代にファンが何を求めていることはなんだろう。

結論から言うと、「正直に、素直に自分の言葉で話す」ということだと思っている。取り繕うことも、無理も嘘もいらない。ただただ自然体のあるがまま。

この文章を書いている直接的な理由が、2023年6月14日に藤井風が発信したメッセージに相当くらったというか感銘を受けたからなんですよね。こういうメッセージを求めてた!と強く感じた。

久しぶり!みんな元気だといいな!🙏次の活動を待ってくれてる人へ。最近、藤井風さんなかなか新しいことを発表できてなくてごめんね。実は地味にずっと忙しくしてて、新しい曲もアイディアも、手元にいくつかあるんですけど、それをみんなとシェアするまでに予想以上の時間がかかっています。何が、いつ実を結ぶのかはわしにも分かりません。今の自分にできる一番は、みんなと作品をシェアすることだと思ってるし、わしだって風ファンの一人だから風の新曲とかそろそろ聴きたいし見たいです。だから一緒に待とう。笑 そして今日は誕生日なんですけど、一番のプレゼントは、マジレスすると、みんなが自分に、周りの人に、そして地球のために、何か少しでも良いことをしてあげることです。わしも密かにこれからもがんばります。いつも本当にありがとう。愛。

藤井風インスタグラム投稿より引用*1

僕はこのメッセージを開いた時が平常時では無く、思いが高まりきった時に読んでしまったので危うく人前で泣きかけたんだが、とにかく胸が熱くなってしまった。

もうね、「私待つわ、いつまでも待つわ」状態。きちんと意図が伝わる、納得ができる感覚。

ほんのしばらく曲を出さないだけで、あるいは1度ヒットしなかっただけで「〇〇終わったな」と囁かれる時代にあって、そのプレッシャーはどれだけのものか想像もつかない。彼の場合、世界で広くヒットする楽曲を出すことができた、見方を変えて出して「しまった」が故の重みも感じているかもしれない。

藤井風はファンと意思疎通を行うのに正直に、真摯に自信の気持ちを綴り、状況を伝えた。その程度のこと?と思う人もいるかもしれないが当たり前のようで中々できることではないんですよね。家族でもそう、友達でもそう、恋人でもそう、上司や部下に対してもそう。頑固おやじが、男は黙ってぇ〇〇!!って時代はもう終わったんですよ。

苦しい時は苦しい。楽しい時は楽しい。待って欲しい時は待って欲しいむしろ一緒に待とう。そう発信することによって、受け手も納得してスタンスを決めることができると思うんですよね。ファンもバカではない、その発信が本気かそうじゃないかは敏感に嗅ぎ取る。

そんな事を2、3日ぐるぐる考えていたんだけれど、客観的な視点を加えるために実際にアンケートを取ってみた。

アーティストからのメッセージは不要と答えたのは1%以下で、思いを知る事は必要と答えたのは2割弱、8割強が必要とまではいかないが嬉しい・安心という結果が出た。つまりこのアンケートの結果だけを見れば、99%以上にとっては自分の言葉で伝えるというアクションがプラスに働くことがわかるし、ファンがなんらかの形で納得感を重視しているのは間違いない。(ご協力いただいた皆様に全力感謝!)

かといって、これだけは思い違いして欲しくないのが、「全てをさらけ出せ、情報を解禁せよ」と言っているのでは無いということね。

事務所の方針もあるでしょう。時には言いたくても言えないこともあるでしょうよ。

この「何かを言う事を決める」のは「何かを言わない」という事でもある。本当に言いたくないことがあっても良い。バランスを見極めるセンスが問われる、難しい時代になったなぁと強く思う

アーティストだけではなく、マネージングサイドが発信するケースもある。実際のケースで言えば、マネージャーのずっず氏がコンサートのネタバレ問題に関して発信してくれた*2ことで、もやってた心が晴れたのを思い出す。

アーティスト、そしてマネジメントが協力してどうファンダムに向き合うか、どの距離感を保つかを決めている運営はとても強い。

じゃあファンはどうあるべきなの?

対話って言うぐらいなので双方向が大事!発信者側の話をしてばっかりだと一方的なので、最後に受け手の話として自分のスタンスを明示しておきたい。自分のスタンスは明確で、アーティストから何かメッセージがあったら素直に感謝をもって受け取る無かったとしても過度に欲しがらない。もうこれ以上でも以下でもない。

ください くださいばっかで

何も あげられなかったね

藤井風 / 帰ろう

好きになればなるほど、距離感がおかしくなったり、連絡が無い事に腹が立ったりするかもしれない。知らず知らずの内にプレッシャーを与えていることがあるかもしれない。少なくとも自分は、余計なプレッシャーを与えず、受信した時は感謝をして応援する。アーティストも人間だしさ、初めての対応でうまくいかないことや後悔なんていくらでもあるし、学びの途中だと理解しときましょ。

いかがだったろうか

ファンとアーティストの距離に正解など無い。それは当事者同士が作り出すしかないのだ

そういう意味で、手探りであってもきちんと考えを発信してくれるアーティストのコミュニティに属している自分は恵まれているなと常々思っている。何度も繰り返すが、心の底からありがとうを言いつつ、素直に受け取っていくことしかない。

愛ってのは一方的じゃないんよね、アーティストの右手とファンの左手でハートを作れたら優しくて素敵な世界が待っている気がしてる。きっとそう。

 

それでは、お元気で。

 

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*1:(英文はニュアンスが少し違うので興味がある場合はそちらもぜひアクセスしてみてください)

*2:(藤井風アプリstaff daiary「LAAT」宮城公演二日目、参照)

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